研究課題/領域番号 |
24360312
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
安丸 尚樹 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90158006)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フェムト秒レーザー / アブレーション / 表面硬化層 / 窒化・浸炭 / DLC / ナノ構造 / トライボロジー |
研究概要 |
オーステナイト系ステンレス鋼のSUS304(18Cr-8Ni)および低温焼戻し後の金型用鋼(1.5C-12Cr)と純チタンの板材に対し,比較的低温で窒化および浸炭処理を行い,母材の特性に熱影響を与えずに硬度がHV900以上の表面硬化層を形成する条件を検討した. 次に,表面硬化層にナノ構造を加工する技術を検討した.即ち,フェムト秒レーザーをスポットで固定照射し,レーザーフルーエンスと照射パルス数を変化させた時の照射痕の形状をSPMで測定することにより,アブレーション閾値や加工速度を求めた.また,FE-SEMにより,照射面に加工されるナノ構造の間隔や形状を観察した.その結果,表面硬化処理された材料では,レーザー加工の速度が高フルーエンス側で加速し,硬化層表面のナノ構造の間隔が小さくなるなどの特徴的な現象が生じることを見出した. 次に,精密3軸ステージによるレーザースキャン技術を応用し,硬化層表面の15mm角の面積に,平面状に均一なナノ構造を加工した.また今年度よりこのナノ構造表面にDLCの固体潤滑膜をスパッタリング法により被覆する複合改質技術を検討した.このナノ構造が加工された合金鋼の表面硬化層や,さらにDLCを被覆した複合改質層に対し,ボール・オン・ディスク型摩擦摩耗試験機を用いて,大気中乾式下で摩擦係数をモニタリングし,ナノ構造のトライボロジー特性に与える効果を検証した.さらに自動滴下装置を導入し,水滴下または油滴下中での摩擦摩耗試験を開始し,少量の液体が摩擦摩耗特性に与える効果を調べた.成果の一部は,表面技術協会第128回講演大会の材料機能の高度化に向けた表面処理技術シンポジウム等に発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づいて実験を行い,ステンレス鋼,金型用鋼と純チタンに対し、比較的低温の窒化・浸炭処理により表面硬化層を形成した.次に硬化層に対してフェムト秒レーザーを照射し,ナノ構造を平面状に大面積で加工する条件を明らかにした.また,ナノ構造加工面やさらにDLCを被覆した複合改質面に対し,ボール・オン・ディスク型摩擦摩耗試験機による大気中乾式下の試験を行う他に,自動滴下装置による水または油滴下中での摩擦摩耗試験を開始した.特に窒化層のナノ構造や加工速度に関しては,興味ある現象を見出し,学会に発表した.
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今後の研究の推進方策 |
合金鋼およびチタン合金に対し,材料特性に熱影響を与えない程度の比較的低温で窒化・浸炭処理を行い,表面硬化層のナノ構造加工面や,さらにDLC等を被覆した複合改質面に対し、乾式下又は少量の液体滴下中で摩擦摩耗試験を実施し,耐摩耗性,離型性,耐かじり・焼付き性等に優れた高機能表面改質技術の開拓に結びつける.
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