研究課題/領域番号 |
24360316
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
渡邉 匡人 学習院大学, 理学部, 教授 (40337902)
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研究分担者 |
水野 章敏 学習院大学, 理学部, 助教 (10348500)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高温融体 / 密度 / 融体構造 / 無容器浮遊法 |
研究実績の概要 |
合金融体密度の精密測定と融体構造解析実験とを組み合わせ,合金融体密度の組成変化を推定するモデルを構築することが本研究の目的である.この目的のために平成26年度は,静磁場印加電磁浮遊法を用いて合金融体(Fe-Si,Ni-Si,Ge-Si, Cu-Coなど)の密度を1200K-2100Kの範囲において高精度に測定をおこなった. この結果各合金について組成を変えた融体密度の温度変化の表式を得ることができた.また,放射光を用いた高エネルギーX線回折実験の結果を解析し,合金融体の短距離構造の解析をおこなった.これらの測定結果に基づき,合金融体密度の組成依存性について原子レベルからの考察をおこなった.一方,目的である合金融体密度の組成変化のモデル化については,相互作用パラメータを導入することで実験データを再現できることを示せたが,相互作用パラメータの物理的意味を明確にすることができていない.今後,この相互作用パラメータの物理的意味を原子レベルでの融体構造の観点と熱力学的な観点から議論し,明らかにしていくことが課題である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の概要で述べたように,合金融体密度の組成と温度変化の測定および合金融体構造解析については予定通りかなりの数のデータを取得することができた.しかし,合金融体密度の組成変化のモデル化に関しては,困難な部分が多く物理的根拠に基づいたモデル化はおこなえていない.この点では計画を完全に達成できたとはいえない.しかし,従来よりも高精度な密度を測定を相互作用パラメータを使ってモデル化できることを示せたことは目的を80%程度達成できといえる.
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今後の研究の推進方策 |
実績の概要で述べたように,目的である合金融体密度の組成変化のモデル化については,相互作用パラメータを導入することで実験データを再現できることを示せたが,相互作用パラメータの物理的意味を明確にすることができていない.今後,この相互作用パラメータの物理的意味を原子レベルでの融体構造の観点と熱力学的な観点から議論し,明らかにしていくことが課題である.このためには,第一原理計算による原子レベルで合金融体構造のシミュレーションを併用し解析をしていく必要がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
アルバイトとして勤務していた物が就職先が決まり途中で辞めてしまったため,人件費(アルバイト)に未使用額が発生してしまった.また予定していた東北大学多元物質科学研究所の静磁場印加電磁浮遊装置のマシンタイムがうまく調整できず実験回数が少なく,東北大学までの旅費と実験試料費用に未使用額が発生してしまった.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度実行できなかった実験をおこなうため,東北大学までの旅費とアルバイト費用,および測定試料作成とその準備のための高純度ガス等に使用する予定.
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