本研究では極低温He物理吸着TPD測定と分子シミュレーションを援用することで,合理的なラフネス同定法を構築し,表面と空間という,統合的なナノ空間の特性評価手法を開発することを目的とした。本TPD装置は,極低温環境(~4 K)とすることで,吸着力の弱いHe原子に対しても,その物理吸着エネルギーが熱運動エネルギーを凌駕する状態を創出し,昇温脱離法の適用を可能としたものである。当該研究ではMCM-41やSBA-15のAtomistic modelの構築とその吸着エネルギー分布の評価を行い,極低温He物理吸着TPD測定結果との比較検討を行うことで,合理的なラフネス同定法構築についての指針を得た。
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