研究課題/領域番号 |
24360319
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
鈴木 洋 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90206524)
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研究分担者 |
菰田 悦之 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00397796)
日出間 るり 神戸大学, 学内共同利用施設等, 助教 (20598172)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 流動 / 伝熱 / 潜熱輸送 / 晶析 |
研究概要 |
前年度まで検討を行っていた無機水和物であるアンモニウムミョウバン水和物へのナノ微粒子分散において,分散特性が不良であることが明らかとなった.この原因はアンモニウムミョウバン水和物のpHが低いためである.このことから本年度においては,潜熱輸送素材としてアンモニウムミョウバン水和物と同様に有望視されているリン酸水素2ナトリウム水和物を対象として,ナノ微粒子懸濁による潜熱輸送スラリーの高機能化の検討を行った.ナノ微粒子にはシリカ10nmの微粒子を新たに選定し,熱伝導度,潜熱輸送の流動特性および伝熱特性について検討した.その結果,リン酸水素2ナトリウム水和物溶液においては分散剤として界面活性剤を用いた場合,ナノ微粒子の分散性が向上し,若干の熱伝導度の向上が観察された.しかしながら熱伝達特性の向上の割合は,本年度の検討範囲では,顕著には見られなかった.このことは加熱条件によって,加熱区間上流部で晶析が生じてしまい,潜熱輸送スラリーの特性である,温度維持性が十分でななかったものと考えられる.加熱条件および流動条件をより広範囲に変更し,さらに検討する予定である.また,分散剤についてもさらに検討を行った結果,ポリビニルアルコールを若干添加することで,飛躍的に分散性が向上することがわかった.次年度には,本分散剤を添加して熱伝導特性の改善を検討する予定である. また前年度に検討した伝熱モデルについて界面活性剤を添加した場合においても,実験結果とよく一致することが明らかとなり,今度管径を変化させた場合についての流動・伝熱モデルを構築する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
流動・伝熱モデルの構築についてはほぼ予定通りに進行しているものの,ナノ微粒子の分散性の向上にまだ検討の余地がある.また流動・伝熱実験の手法についてはほぼ確立できているが,伝熱条件等の検討が新たに必要であることが明らかとなり,より広範囲に検討する必要が生じている.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更はないが,ナノ微粒子の分散性をより向上させること,伝熱条件の検討を行い,ナノ微粒子分散による伝熱促進法における最適な流動条件,管径条件を検討していく.
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