研究課題/領域番号 |
24360320
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松山 秀人 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50181798)
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研究分担者 |
比嘉 充 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30241251)
神尾 英治 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30382237)
石神 徹 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70595850)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 正浸透膜 / 汚染水濃縮 / 水チャネル / ハイドロゲル |
研究概要 |
1.新規FO膜の創製 (1.1ウォーターチャネルFO膜の創製)本年度は、支持体である多孔質アルミナ膜をシランカップリング剤により疎水化し、リポソームとの間の疎水性相互作用によりリン脂質二分子膜を形成及び固定化することを試みた。リポソームにチャネル物質であるGramicidin Aを導入した際の膜性能として、NaCl阻止率に関しては98%以上の非常に高い値を示し、市販のRO膜と同等の性能を達成できた。FO試験においても市販膜を超える透水性能を有していることも確認している。(1.2 荷電反発機能を有するミクロ相分離ハイドロゲルFO膜の創製)本年度はビニルアルコール基と荷電基のブロック共重合体を新規合成し、この共重合体で作製した荷電層を支持体上に、正荷電層と負荷電層をそれぞれ10~20μmの厚みで形成することでFO用イオンバリヤー膜(FO-IB膜)の作製を行った。得られたFO膜を使用してFO性能評価を行った結果、市販FO膜(HTI社製)の水選択透過性(=水透過性/塩透過性)が約300に対して、高いグルタルアルデヒド(GA)架橋条件で作製したFO-IB膜の水選択透過性は600以上になり、約2倍高い水選択透過性が得られた。 2.FO膜のファウリング挙動の検討 本年度は、平膜型FO膜のファウリング挙動に関して、支持体内におけるファウラント分布の詳細解析を行うとともに、洗浄操作による可逆性について検討を行った。一方、中空糸型FO膜の透水性能解析手法の開発を行うとともに、中空糸型FO膜のファウリング挙動に関してその評価体系を確立した。 3.FO膜を用いた浸透圧発電評価 浸透圧発電を評価するラボスケールの装置を作製した。特に発電効率に及ぼす条件として、透水量、塩阻止率の影響を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新規FO膜の創製およびFO膜のファウリング挙動について詳細な検討を加え、これらの成果は下記のように、論文発表や学会発表を行った。このようにほぼ当初の計画通りの結果を得たと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、新規FO膜の作製およびFO膜のファウリング挙動の検討を行うとともに、浸透圧発電に向けた検討を加え、システム全体の最適化にも着手していきたい。具体的には、ウォーターチャネルFO膜の創製に関しては、生体模倣膜の強度(耐圧性)向上を目指し、リン脂質-リン脂質間、又はリン脂質-支持体間を化学的に架橋に関する検討を行う。荷電反発機能を有するミクロ相分離ハイドロゲルFO膜の創製に関しては、ブロック共重合体を使用したP層、N層の薄膜形成法、および支持体構造の検討を行うことで、昨年度作製したFO-IB膜のFO性能(透水量、塩阻止率)の向上を目指す。さらにこのFO-IB膜に最適な駆動溶液(DS)の探索を行う。一方、FO膜のファウリング挙動の検討に関しては、駆動液に海水を用いた実験系について、駆動液側、処理水側ともにファウリング挙動を検討するとともに、実プロセスを想定した運転方法の確立を目指す。また、FO膜を用いた浸透圧発電評価に関しては、昨年度に作製したラボスケールの浸透圧発電評価装置を用いて、発電効率に及ぼす種々の条件について継続検討を行う。特に、モデル汚染物質として用いるセシウムの海水側への漏洩挙動について、駆動液(海水)側の逆拡散による漏洩阻害効果について詳細検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は既存の装置を用いて検討を行い、また予定通りに比較的スムーズに研究が進行したため、次年度に資金を繰り越せる結果となった。次年度はこの助成金を加えて、特に浸透圧発電に向けた検討を集中的に行う予定である。 研究費の使用内訳としては、主に消耗品(化学薬品、ガラス器具)に使用予定であるが、一部は成果発表のための旅費に使用予定である。
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