研究課題/領域番号 |
24360322
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉田 昌弘 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (50315397)
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研究分担者 |
武井 孝行 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (90468059)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自己修復 / マイクロカプセル / カプセル化修復材 / コア-シェル構造 / インテリジェント材料 |
研究概要 |
ポリマー系材料は、構造深部にマイクロクラックを受けやすく、検知と修復が困難である。一度マイクロクラックを生じると材料の構造全体が大きく損傷する。本研究課題は、マイクロカプセルを導入した自己修復機能を有する新しいポリマー材料の開発を目的としている。本研究課題で提案するポリマー材料は、(1) 材料製品の生産に典型的に用いられるポリマーマトリクス(樹脂基材)に修復材(反応性モノマー)を含むマイクロカプセルと触媒を混合して作られ、(2) 材料にクラックが生じた場合、そのクラックがカプセル膜を破壊してからモノマーがカプセル内から流出が起こり、(3) その流出したモノマーがクラック表面に露出した触媒にふれると重合反応が進行によりクラックは自己修復し、(4) いったん修復するとクラックを生じた材料は元の強度を取り戻す特徴を有する。今年度は、コア/シェル構造を有し修復材を完全隔離するマイクロカプセルの調製条件の確立を目指した。懸濁系におけるホモジナイズ操作を行い、有機相を水相に分散させ、種々の操作条件下(ホモジナイズに伴う液滴径、マイクロカプセル外殻形成ポリマー濃度、マイクロカプセル外殻形成ポリマーと修復剤の割合など)でマイクロカプセルを得た。得られたマイクロカプセルにおいて、1)液中乾燥の減圧及び温度条件による液滴安定性(O/Wエマルション液滴安定性や修復材液滴合一過程)がカプセル形態に及ぼす影響、2)粒径分布、3)表面形態評価、4)修復材のカプセル化効率などを評価した。評価結果を解析することで、マイクロカプセル調製時の操作条件の最適化に役立てた。また、次年度に計画予定の予備実験も一部実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コア/シェル構造(単核構造)を有し修復材を完全隔離するマイクロカプセルの調製条件の確立を行い、ある程度の実績を積み上げることができた。次年度の計画に繋がる予備的な実験も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
修復材を内包するマイクロカプセルを包埋した自己修復材料(試験片)の作成をし、その物性を定量的に評価する。試験片の基材としてはエポキシ樹脂を選択し、以下の検討を行う予定である。1)マイクロカプセルの試験片中への分散状態、2)マイクロカプセル、触媒、エポキシ樹脂との配合割合が及ぼす試験片強度(圧縮試験等)、3)自己修復能を確認および評価するために修復材硬化にかかる温度依存性や硬化時間の検討、4)亀裂進展機構の観察等を行う予定である。試験片の評価結果を踏まえ、適宜マイクロカプセル調製条件を変更を加えていく予定である。
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