研究課題/領域番号 |
24360334
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
寺岡 靖剛 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (70163904)
|
研究分担者 |
西堀 麻衣子 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (20462848)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 触媒・化学プロセス / 大気汚染防止・浄化 / 自動車排ガス浄化 / 貴金属元素戦略 |
研究概要 |
本研究では、①貴金属/ペロブスカイト共担持触媒、②貴金属固溶ペロブスカイトの設計合成と機能開発、③ディーゼルパティキュレート除去用ペロブスカイト系触媒の3つの触媒系を対象として貴金属低減のためのペロブスカイト触媒の可能性を検討しており、以下の成果を得た。 〔貴金属/ペロブスカイト共担持触媒〕乾式含浸法で調製したアルミナ細孔内へのLaMnO3とPdの共担持触媒のキャラクタリゼーション、CO-NO反応機構を検討し、LaMnO3が近接した際にPdの酸化状態が安定化することが本触媒の高活性発現の理由であることを明らかにした。また、セリア担持LaMnO3触媒がPt触媒に匹敵するNO酸化活性を示すことを見いだした。 〔貴金属固溶ペロブスカイト触媒〕Sr2-xLaxMnO4とPd2+とのイオン交換/焼成プロセス(ポスト熱処理固溶法)で合成したコア-シェル型触媒について、Pdイオンの状態をXAFSで検討し、固溶している可能性を見いだした。ボールミルによるメカノケミカル反応で合成したLa(Fe,Pd)O3系関しては、ボールミル法による新たなLa-Fe-O相の発見、Pdイオンの固溶状態を種々の手法で明らかにし、固体科学分野で新たな知見を得た。 〔ディーゼルパティキュレート除去用ペロブスカイト系触媒〕 固体化学を駆使したKを安定に固溶することができる触媒材料((Ba,La,K)TiO3)の開発、実用条件下に近いスーパールーズ、ルーズコンタクト下で高性能を示すためのモルフォロジーを制御の重要性やAg/rod-CeO2、Ag/α-Al2O3などの有望な触媒の開発に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ研究計画通りに進んでおり、平成26年度の研究を推進するに十分な基礎的知見を得ている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度、25年度においてほぼ当初計画どおり進捗しているので、平成26年度も、以下のように当初計画にそって研究を推進する。 〔貴金属/ペロブスカイト共担持触媒〕乾式含浸法で調製したアルミナ細孔内へのLaMnO3とPdの共担持触媒、セリア担持LaMnO3触媒の高活性触媒に対して、酸化還元処理、高温熱処理や加速劣化試験により触媒の安定性、耐久性を評価し、貴金属/ペロブスカイト共担持触媒の貴金属低減に対する有効性や貴金属-ペロブスカイトの相互作用、活性発現機構を解明する。 〔貴金属固溶ペロブスカイト触媒〕ボールミルによるメカノケミカル反応で合成するコア-シェル型触媒に対して、La(Fe, Pd)O3系に関する詳細なキャラクタリゼーションを継続するとともに、Pdを粒子表面に安定に存在させるための材料設計、調製方法、条件を検討し、触媒調製科学、固体科学の観点からの新規性を明確にする。また、他の貴金属とペロブスカイトの組み合わせ(Rh-LaMnO3系など)を検討する。さらに、触媒活性評価、酸化還元処理、加速劣化試験により触媒の安定性、耐久性を評価し、貴金属固溶ペロブスカイト触媒の有効性、ポスト固溶法の材料科学の観点からの特徴の解明と確立を行う。 〔ディーゼルパティキュレート除去用ペロブスカイト系触媒〕平成24、25年度の研究で見出した高性能触媒をウォールフロー型ハニカムに担持した実用性を持った触媒付ディーゼルパティキュレートフィルターの作製条件を確立し、その実ディーゼル排ガス中での特性、耐久性を評価する。さらに固体反応物を対象とする触媒化学に対して、特に触媒材料の観点からの基礎学理を構築する。 以上の結果をもとに、貴金属低減のためのペロブスカイトの応用の可能性の解明と問題点の抽出を行い、本研究を総括する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
厳格な見積もり合わせにより、僅かではあるが当初予定していた額より安価に購入できたため。 当初予定に基づき使用する。
|