研究課題/領域番号 |
24360335
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
山本 勝俊 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (60343042)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ材料 / 自己組織化 / 触媒・化学プロセス / 多孔質材料 |
研究概要 |
本研究では、アルカリ土類金属などのヘテロ金属とシリカからメカノケミカル反応を利用して固相合成した前駆体を、水熱処理により結晶性マイクロポーラス物質へと変換するという新しい手法を用い、これまでにみられない新規構造多孔性物質の合成を目指す。 平成25年度は、これまでに得られたアルカリ土類金属含有マイクロポーラス物質のうち2つについて成果をまとめ、学術論文として公表した。結晶構造が決定できていない未知物質については、元素分析、熱分析、ガス吸着などを行い、それらの結果を考慮しながら結晶構造解析を進めている。結晶構造が決定し次第、論文として発表したい。 物質合成では、アルカリ土類金属であるバリウムを含む前駆体からの多孔性物質合成を進めるとともに、骨格導入する金属種をアルカリ土類金属以外の金属に展開させ、主としてバナジウムやニッケルなどを含む前駆体からのゼオライト合成を行った。バリウム含有シリケートについては、結晶性がやや低いながらもいくつかの未知物質が得られたため、今後はそれらのキャラクタリゼーションや結晶構造解析を行いたい。バナジウムやニッケルを含有する前駆体からはMFI型ゼオライトの合成に成功した。バナジウム含有MFI型ゼオライトは非常に再現性良く得られるだけでなく、これまでの合成手法に比べ効率的にバナジウムを骨格導入することができ、オレフィン酸化反応に触媒活性を示すことも確認された。骨格導入する金属種については、チタンやその同族元素であるジルコニウムへと展開させ、新規構造シリケート物質の結晶化を狙う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究により、アルカリ土類金属を骨格として含有する新規構造マイクロポーラス物質の合成に成功した。本年度はそれら新規構造マイクロポーラス物質のうち、2つの物質について論文にまとめ、学術雑誌に掲載された。未だ構造が決定できていない物質については、構造決定の材料とするために元素分析、熱分析、吸着測定などを行っている。物質合成では、シリケート骨格中に導入する金属をこれまでのアルカリ土類金属からバナジウムやニッケルに展開させた。これらの金属を含むMFI型ゼオライトを合成し、その物理化学特性を調べるとともに、触媒活性を評価し、骨格への導入を確認した。昨年度までに得られた物質のイオン交換能や吸着能の評価があまり進んではいないが、前記のように成果の公表と物質合成で着実な進捗が見られており、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で得られた物質のうち未発表の新規構造物質について、結晶構造解析を進めるとともに、細孔径・細孔容積などの基本的な物理化学特性の評価を行い、論文として発表できるようにする。また、すでに結晶構造が明らかになった物質については、Liなどレアメタルの回収を念頭に置いた、イオン交換容量・吸着容量の評価を行い、材料としての性能評価を行う。 物質合成では、ヘテロ元素としてチタンやその同族元素であるジルコニウムを用い、シリケート骨格への導入を行うとともに、より大きな細孔を持つマイクロポーラス物質の合成を目指し、有機構造指向剤の存在下での結晶化にチャレンジする。有機構造指向剤存在下での結晶化では、乾燥ゲルを水蒸気存在下で熱処理するドライゲルコンバージョン法による結晶化も検討する。この手法を用いることにより、有機構造指向剤を水溶媒中に逃がすことなく、前駆体粉末を結晶化させることが期待できる。
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