血液中に極微量しか存在しない多数の疾病マーカーを同時に検出する為に、それに結合する複数のアプタマーを用意し、ビーズ等に血液中の疾病マーカーである複数の蛋白質を固定化し、これに結合したアプタマーを回収・増幅し、次世代シーケンサーにより塩基配列を決定する方法の開発を目指した。特定のアプタマー配列の数は血液中の特定の疾病マーカーの濃度に対応するはずであり、アプタマー配列を計数すれば、疾病マーカーを検出し濃度を概算できる。添加するアプタマーセットは、それぞれの疾病マーカーを同じ様にビーズ等の固定化担体に共有結合させてスクリーニングして取得する。マーカーが極微量しか存在しなくても、固定化した疾病マーカーに数個でもアプタマーが結合していれば、PCR増幅によりその配列は読めるので、高感度検出できる。またアプタマーセットと次世代シーケンサーを用いることにより、多数の疾病マーカーの同時検出が可能になる。 具体的には、1)既に取得している疾病マーカー結合アプタマーを用いた本検出原理の確認、2)標的分子を共有結合で固定化した固定化担体を用いたアプタマーセットの探索、3)取得したアプタマーセットを用いた多数疾病マーカーの同時検出とその検出感度の検討、の3つの項目について研究を実施し、本検出原理を確認し、本手法の可能性を確認することができたが、アプタマーの非特異的吸着に由来するバックグラウンドシグナルが高く、現時点では超高感度検出への応用は難しいことが確認された。しかし、タンパク質の固定化法としてボロン酸ビーズを用いると、タンパク質の立体構造をあまり損なうことなく固定化で来ている、という見込みを得ることができ、今後のアプタマーを用いたマーカータンパク質等の検出の発展の上で重要な知見を得ることができた。
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