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2012 年度 実績報告書

変異能力を有した培養B細胞株の機能拡張と抗体工学的活用

研究課題

研究課題/領域番号 24360343
研究種目

基盤研究(B)

研究機関岡山大学

研究代表者

金山 直樹  岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (70304334)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード細胞工学 / 抗体工学 / 抗体 / 変異
研究概要

抗体は次世代の分子標的医薬として注目されており、一本鎖抗体などの改変型抗体の利用も進みつつある。申請者は、これまでに変異能力を有するニワトリB細胞株DT40を利用してin vitro抗体作製システムを構築した。本研究では、他の抗体作製技術で取得された任意のモノクローナル抗体の可変部や一本鎖抗体を、ヒトIgG1抗体定常部とのキメラ抗体としてDT40細胞表面に発現させることができ、かつ、DT40の変異能力によって親和性成熟できる革新的な動物細胞ディスプレーシステムを構築する。さらに、構造的に安定な変異抗体を発現する細胞の濃縮方法や、効率的な高親和性抗体産生細胞の選択方法を確立して、有用な活性を有した抗体創出の効率化を図る。
本年度は、ヒトIgG1抗体定常部を発現するDT40の樹立を検討した。まず、DT40のIgM抗体定常部遺伝子をヒトIgG1抗体定常部遺伝子に、λ軽鎖定常部遺伝子をヒトκ軽鎖定常部遺伝子に相同組換えにより置換した細胞を樹立した。樹立した細胞株は、細胞表面と培養上清に発現されるニワトリ可変部7ヒト定常部キメラ抗体を発現し、また、この細胞株においてキメラ抗体の可変部遺伝子に効率的に変異を導入することに成功した。次に、一本鎖Fv抗体や単一ドメイン抗体を抗体定常部Fcとのキメラ抗体としてDT40-SWに発現させるために、軽鎖との会合に必要なCH1ドメインを欠損させたヒトlgG1抗体重鎖定常部(ヒトIgGl Fc)遺伝子を、上記と同様の方法でDT40-SWに導入した細胞株を樹立した。この細胞株の抗体可変部遺伝子をモノマー型の蛍光タンパク質mCherry遺伝子と置換することによって、ヒトIgG1 Fc融合タンパク質を発現するDT40-SW細胞株の樹立に成功した。この細胞株は、効率よく融合タンパク質を細胞表面と培養上清に発現し、蛍光タンパク質遺伝子への変異導入も可能であった。今後はこれらの細胞株を用いて、目的の抗体を産生する細胞クローンの選択法の開発を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね研究計画に記載された検討項目を実施し、当初の目標としていた成果が得られている。

今後の研究の推進方策

研究計画に基づき、研究を進める。特に構造的に安定な変異体を発現する細胞の濃縮方法の開発を行う。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] In vitro substrate phosphorylation by Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase kinase using guanosine-5'-triphosphate a8 a phosphate donor.2012

    • 著者名/発表者名
      Saki Yurimoto
    • 雑誌名

      BMC Biochem.

      巻: 13 ページ: 27

    • DOI

      10.1186/1471-2091-13-27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 胚中心におけるB細胞のnegative selection と濾胞樹状細胞2012

    • 著者名/発表者名
      曲正樹
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 58 ページ: 259-265

  • [雑誌論文] 抗体遺伝子への突然変異能を有するニワトリB細胞株の機能拡張によるin vitroモノクローナル抗体作製・改良システム2012

    • 著者名/発表者名
      金山直樹
    • 雑誌名

      細胞工学

      巻: 31 ページ: 1159-1165

  • [学会発表] 抗体遺伝子への突然変異能を有するニワトリB細胞株の抗体工学的応用による抗体機能改変2012

    • 著者名/発表者名
      金山直樹
    • 学会等名
      第35回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2012-12-14
  • [学会発表] DT40細胞株を用いたin vitro抗体作製システムにおける,抗原レセプターの刺激に依存した生存による抗原特異的抗体産生細胞の選択法の開発2012

    • 著者名/発表者名
      渡邊康二
    • 学会等名
      第35回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2012-12-14
  • [学会発表] スプライシング因子SRSF1のアイソフォームSRSF1-3は,R-loopを形成することでlgV高頻度突然変異を誘導する2012

    • 著者名/発表者名
      川口祐加
    • 学会等名
      第35回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2012-12-11
  • [学会発表] A splicing isoform of the splicing factor SRSF1, SRSF1-3, has role in R-loop formation in IgV hypermutation.2012

    • 著者名/発表者名
      Kanayama Naoki
    • 学会等名
      2012 日本免疫学会総会・学術集会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2012-12-05
  • [学会発表] ヒト型抗体産生ニワトリB細胞株DT40を用いた抗原特異的抗体の作製2012

    • 著者名/発表者名
      川上夏奈江
    • 学会等名
      第64回 日本生物工学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2012-10-26
  • [学会発表] 変異能力を有する培養B細胞株DT40を用いた新規なタンパク質ディスプレーシステムの開発2012

    • 著者名/発表者名
      日笠卓哉
    • 学会等名
      第64回 日本生物工学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2012-10-26
  • [学会発表] ニワトリB細胞株DT40-SWを用いた異種抗体改良システムの構築2012

    • 著者名/発表者名
      佐井燕
    • 学会等名
      第64回 日本生物工学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2012-10-26
  • [図書] 次世代抗体医薬開発に向けた抗体工学の最前線 監修 : 熊谷泉第13章 ニワトリ抗体ライブラリーからの高親和性抗体の作製2012

    • 著者名/発表者名
      金山直樹
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      シーエムシー出版

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公開日: 2014-07-16  

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