研究課題
アブレーションセンサーを熱防御材に埋め込んだ状態で,炭化進展と損耗検知の同時測定を可能とするプロトタイプを前年度開発したが,加熱試験後供試体を調べたところ,センサー艤装部分で熱劣化が進み,供試体とセンサーの損耗量が異なる傾向にあった.これらは,センサー構成材料と熱防御材料の構成要素材が大きく異なることに起因するものであるため,センサー各部の構成要素材料を見直し,侵襲特性の低減と検知性能の改善を行った.光学式炭化層表面損耗検知部には,炭素繊維強化プラスチック細棒に変えて断熱複合材細棒を内製して使用した.断熱複合材細棒は,熱防御材料と同等にアブレーションさせることを目的として,短炭素繊維と耐熱樹脂微粒子から製造し,比重を低く抑えつつ強度も確保した.光ファイバーを配置する溝はパルスレーザー加工により設け,端面配置精度を向上させた.これらにより,熱防御材料と検知部との損耗量誤差を大幅に低減させた.炭化式炭化層裏面検知部では,熱的特性の異なる部材を排除することと高温時の安定な電気回路作動を目的として,同軸上にある2つのポリイミド管に,精密抵抗線を切断せずに巻き電流回路ループを構築する技術を確立した.断熱複合材細棒の径を1mmまでに縮小しつつ4本の光ファイバーを艤装し,炭化式炭化層裏面検知部の中空部に入れ,全体で約1.9mm径の複合アブレーションセンサーを開発した.本センサーを熱防御材に艤装してセンサー作動試験を行った.結果,センサー艤装部の熱劣化は大幅に低減され,炭化検知精度は約1mmの範囲内であった.光ファイバー計測データから導出した損耗平均速度を,加熱後供試体損耗量から評価した平均速度と比較したところ,概ね一致することがわかった.ただし,本センサーによる光強度信号は比較的弱いため,高温時の光伝送性能の低下を抑え,損耗検知を可能とするファイバー端面配置方法については検討の余地がある.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Transactions of JSASS, Aerospace Technology Japan 12(ists29)
巻: 12 ページ: Po_2_7-Po_2_12
10.2322/tastj.12.Po_2_7