研究課題/領域番号 |
24360350
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
三上 真人 山口大学, 理工学研究科, 教授 (20274178)
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研究分担者 |
瀬尾 健彦 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00432526)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 燃焼 / 液滴 / 燃え広がり / 低圧 |
研究概要 |
大型落下実験施設用に液滴群要素燃焼装置を改良し,低圧雰囲気での燃え広がりの微小重力実験を行った.実験に用いた液滴群要素は,着火用液滴,干渉用2液滴,燃え広がり確認用液滴から成る4つの液滴から構成される.各液滴は格子状に張られたSiCファイバの所定の交点に生成された.燃料には正デカンを用い,着火時初期液滴直径は0.5mmとした.低圧時には大気圧時と比べ,予蒸発が無視できなくなる.液滴生成開始から,着火までの時間を可能な限り短縮した.また,低圧時には大気圧時と比べ着火が困難であり,着火確率は低下した.最終的に平成25年度中に,5m級落下実験施設での結果と合わせて,低圧における燃え広がり速度および燃え広がり限界のデータを取得することができた.ただし,低圧化に伴い燃え広がり限界距離が大きくなる影響により,平成25年度の結果には着火液滴の影響も含まれていると考えられる.液滴群要素の着火液滴位置の最適化は平成26年度において必要と考える. 微小重力実験により得られた液滴間の燃え広がり限界距離を考慮したランダム分散液滴群の燃え広がりのパーコレーション計算を3次元配置に拡張した.臨界平均液滴間隔に及ぼす各種パラメータの影響を詳細に調べた. 以上の燃焼実験・シミュレーションと並行して,ガスタービン噴射弁の低圧噴射実験も昨年度に引き続き行い,実噴霧の低圧雰囲気での噴霧特性把握を行った.その結果,低圧ほど液膜に穴が開いた後に液糸に分裂しており,それに伴い,粗大液滴が形成されることが明らかになった.この低圧噴霧特性を次年度液滴群要素に反映させていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低圧での実験を推進し,北海道の50m落下塔での微小重力実験も行うことで,燃え広がり限界データを取得できた.低圧で火炎輝度が低く,これまで使用してきた火炎認識プログラムでは誤差を生じるという新たな課題が出たが,新たなアルゴリズム構築により課題もクリアできた.燃え広がりのパーコレーションモデルにおいても二液滴干渉効果を組み込み,3次元モデルの計算まで実施した.
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今後の研究の推進方策 |
二液滴干渉後の燃え広がり限界確認実験より,燃え広がり限界距離分布が明らかになったことから,この分布をパーコレーションモデルに考慮した計算を行う.さらに,低圧の効果を微小重力実験の最適化により高精度に把握し,モデルに考慮する.
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次年度の研究費の使用計画 |
1万円以下の端数が生じたため次年度持ち越しとした. 少額の繰越であるため,当初の計画に沿った使用を計画している.
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