研究課題/領域番号 |
24360359
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古川 芳孝 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90253492)
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研究分担者 |
茨木 洋 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20274508)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 操縦運動 / 操縦性 / 船体流体力 / 干渉力 / 側壁影響 / 狭水路 / 制限水路 |
研究概要 |
昨年度に引き続き,九州大学船舶運動性能試験水槽内に全長約20mの制限水域を設定し,方形係数Cbの値が0.65程度の痩せ型船を対象として,狭水路において側壁近傍を航行する場合に船体に作用する横力と回頭モーメントの計測を行った。船舶が狭水路を航行する場合には水路幅の制限により回頭運動は緩やかになり,生じる旋回角速度は極めて小さな値であると考えられるため,斜航試験のみを実施した。供試船としては既所有のコンテナ船型の模型船を用い,実験パラメータとして水深喫水比,水路幅,斜航角,船体中央と側壁間の距離を種々変化させた。また,平成26年度に実施を予定している側壁近傍の航行を想定した自由航走模型試験の準備を目的として,予備実験を実施した。 拘束模型試験により計測された横力と回頭モーメントの変化の傾向を昨年度実施の肥大船と比較した結果,痩せ型船が側壁から受ける影響は小さく,肥大船の方がより大きな影響を受けることが分かった。ただし,痩せ型船の場合であっても,斜航角が大きくなって船尾が側壁に近づくと,横力に対して側壁の影響が急激に現れることを明らかにした。また,肥大船と痩せ型船を対象として,側壁による干渉力の着力点の位置や干渉力に影響を及ぼす船型パラメータについて検討を行い,数学モデル構築のための基礎データを得ることができた。 さらに,簡便なパネル法の一種であるSQCM法を適用して船体が側壁から受ける干渉力を推定する計算プログラムの開発を行い,肥大船(タンカー船型)の船型を簡略した計算モデルを対象として,船体が側壁から受ける干渉力の計算を行った。その結果,斜航角による干渉力の定性的な変化の傾向を表現可能であることを確認した。しかしながら,実験結果と推定結果には定量的な差が生じており,推定精度向上のための推定プログラムの改良が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載していた既所有のコンテナ船を対象とした拘束模型試験を実施し,狭水路を航行中の船体に作用する流体力のデータを蓄積することができた。また,SQCM法を適用して船体が側壁から受ける干渉力を推定する計算プログラムの開発を行い,定性的な傾向を表現可能であることを確認した。従って,本研究課題はおおむね順調に進展していると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に引き続き,平成25年度も交付申請書に記載した計画通りに研究を進行させることができたため,平成26年度も当初計画に従って研究を遂行する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験スケジュールの都合により,一部の模型試験について実験補助者を雇用することができなかったため,実験補助謝金の支出額が当初予定よりも少額となった。また,実験実施に必要な消耗品等の費用も当初予定より少額であったため,次年度使用額が生じた。 次年度は本研究課題の最終年度であることから研究成果発表等のための旅費として,また最終年度に実施予定の自由航走模型試験に必要な備品・消耗品等の購入のために使用する計画である。
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