研究概要 |
高効率の振動水柱(OWC)型波力発電装置を実現するため,研究代表者らは,2台の衝動型タービンにより往復気流を整流する波力発電用ツイン衝動型タービンを提案している.しかし,従来の研究により,本タービンの最高効率点付近における正方向タービンと逆方向タービンの流量比が約7:3であると予想され,出力が期待できない逆方向タービンへの気流の漏れが大きな効率低下の原因となっている.この欠点を克服し,好適なタービン形状を提案するため,当該年度においては,供試タービンの設計・製作を行うとともに,定常流発生風洞とタービン試験装置を用いたタービン単体の性能試験により,正逆の両方の気流方向に対するタービン単体の性能(トルク係数,圧力係数,効率)を調査した.さらに,試験データと準定常解析手法を用いた数値シミュレーションにより,正弦波状の周期的往復気流におけるタービンの平均効率を予測した,その結果,以下の知見を得た. (1)タービンの平均効率は案内羽根弦節比とともに増加し,2以上でほぼ一定値となる. (2)発電機1台の場合,逆方向タービンで発生する負のトルクにより,2台の場合に比べて平均効率が大きく減少する. (3)逆方向タービンの回転数を正方向タービンのそれより大きくすることで,逆方向タービンの流量抑制が可能である. これらの知見は,最終年度に実施する本タービンの実証試験で採用するタービン形状となるため,当該年度の研究は極めて有意義であったと考えられる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究においては,6種類程度の供試タービンの設計・製作およびタービン単体の性能試験を実施する計画であった.実際には,4種類の供試タービンしか製作および試験ができなかったが,これらについては,次年度に計画していた往復気流におけるタービンの性能予測も実施できたため,全体としてはおおむね順調に研究が進展していると思われる.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,まず当該年度に製作できなかった2種類程度の供試タービンを製作する.その後,当初の計画通り,タービン単体の性能試験と試験データを活用した数値シミュレーションを実施し,最終年度に実施する本タービンの実証試験に採用するタービン形状を提示する.
|