高性能の振動水柱型波力発電プラントを実現するため,研究代表者は定常流によるモデル試験およびCFD,準定常解析手法を用いた数値解析により,波力発電用ツインタービンの性能を調査するとともに,好適な幾何形状を提案した。本研究で得られた結論を要約すると,以下の通りである. (1) 2つのタービンを発電機1台で統合した場合,非定常流におけるタービンの平均効率は2台の場合に比べて大きく低下する.(2) ロータ翼型は,効率の観点からはType A(反動度0.12),整流効果の観点からはType B(反動度0.044)がそれぞれ好適であると考えられる.(3) ロータ弦節比は1.5~2.0程度が好適であると思われる.(4) 案内羽根設定角は,20度~23度程度が好適であると思われる.(5) 案内羽根弦節比は,2.0程度が好適であると思われる.(6) ツイン衝動型タービンの最大効率点において,全入力パワーの3割以上が逆方向のタービンで失われ,タービンの平均効率が大きく低下する.(7) 逆方向タービンの回転数を正方向タービンのそれより大きくすることで,逆方向タービンの流量抑制が可能であると思われる.(8) 円錐型ノズルのみで構成される流体ダイオード(Type I)は本タービンには適さず,一方で特殊型流体ダイオード(Type II)はタービン性能改善の可能性を有することがわかった.(9) 流体ダイオードを設置することで,わずかではあるがタービン出力が増加する一方,大気と空気室の圧力差が増加し,タービン効率が低下する。(10) 流体ダイオードの使用により逆方向タービンへの気流流入が抑制され,わずかではあるがタービンの起動特性が向上する.(11) 周期的往復流における平均効率について,ウエルズタービンとの比較により,ツイン衝動型タービンの有用性が確認された.
|