研究課題/領域番号 |
24360364
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
原 正一 独立行政法人海上技術安全研究所, 環境・動力系付, 上席研究員 (60399524)
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研究分担者 |
間島 隆博 独立行政法人海上技術安全研究所, 運航・物流系物流研究グループ, 研究グループ長 (30392690)
宮田 修 独立行政法人海上技術安全研究所, 環境・動力系環境影響評価研究グループ, 主任研究員 (10450678)
城田 英之 独立行政法人海上技術安全研究所, 環境・動力系環境影響評価研究グループ, 研究グループ長 (40344238)
影本 浩 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40214275)
小野 正夫 独立行政法人海上技術安全研究所, 大阪支所材料・艤装研究グループ, 主任研究員 (80399526)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 浮上速度 / 分散性能 / 粒度分布 / 濃度変I解析 / 水中散布 / 油処理剤 |
研究概要 |
平成24年度の研究目標は、タンクの設計、製作と油処理剤散布実験データを取得して、油と油処理剤との接触効率を現象面で把握し、油処理剤の分散性能の定義を確立することであった。 油処理剤の水中散布に関する実験施設(角型タンク:1辺0.8m、高さ3m、油処理剤散布タンクは現象が可視化できるように3面はガラス張り)を製作し、実験計測のための油処理剤散布水中タンク、油タンク、油処理剤タンクからなる油の挙動計測装置を整備した。 実験では、予め種々の割合で油と油処理剤を混合させた試料を作製し、理想的な散布状態として水中に放出した際の挙動を観測した。その結果、分散性能と密接に関連する要素として、高解像度カメラを用いた画像計測データを濃度変位解析及び濃度相関解析によって噴流の拡散面積及び浮上速度を求めた。今後、これらの指標に着目して分散効率の向上を図る手法について開発する予定である。 油処理剤を水中散布した場合の分散性能評価指標を明確にするために、物理的及び化学的な観点から分散化した油の粒度分布計測及びガスクロマトグラムによる成分分析を実施し、その分析結果より理想的な分散効率と認められる条件を確認した。また、このような油と油処理剤を理想的な混合状態にするために、撹乱エネルギーを簡易に与えて分散性能を評価するシステムを考案して特許出願した。 さらに、油と油処理剤の挙動モデルの開発について、流出油には分散、溶解、蒸発、乳化などの様々な風化現象が発生するが、分散剤は分散、溶解を助長し、分散剤適用の有無で油の移流・拡散の様相は大きく変化する。海中流出油の移流・拡散現象に関するモデル、流出油及び分散剤の混合物に関する風化モデルを調査し、拡散解析過程のメインプロセスを完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目の研究については、3面観測ガラス付油処理剤水中散布実験タンクの建造、実験データの取得、解析方法の検討を実施できたので、研究計画通り進んでいると判断できる。特に、油と油処理剤の混合物の濃度変位及び浮上速度を油処理剤の分散性能に関連する主要素と定義して解析を進め成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策としては、分散性能を表現する指標として初年度に規定した浮上速度及び拡散面積について、分散効率という面で定量的なデータの取得に努める。このために、実験タンクを改良することにより、分散化した油粒径のサンプリングを可能にして、油及び油処理剤の接触効率に絡むこれらの流量を正確に把握して分散効率向上の手法を追究する。また、流出油及び分散剤の混合物に関する風化モデルの構築と試行プログラムを作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画よりも実験タンクの製作寸法を小さくしたために予算の余剰が生じた。この〓用はオーバーフロー機能、各種タンクの流量及びゲージ圧の計測などの装備等の実験タンクの改良に充てる。
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