研究分担者 |
谷澤 克治 海上技術安全研究所, 研究統括主幹, 研究員 (70373420)
田口 晴邦 海上技術安全研究所, 流体性能評価系, 研究員 (70344455)
小林 寛 海上技術安全研究所, 流体性能評価系, 研究員 (20361503)
宮崎 英樹 海上技術安全研究所, 流体性能評価系, 研究員 (10415797)
宝谷 英貴 海上技術安全研究所, 流体性能評価系, 研究員 (30636808)
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研究概要 |
本研究の目的は航行する船舶が造る曳き波(航走波)に対する小型船の運動計算法の提案である。初めに造波機による航走波の発生技術の構築を行う。次に航走波に対する小型船の動揺について模型試験で把握し,航走波に対する小型船の運動計算法を構築する。 初年度(H24年度)にはCDFでの航走波の計算結果を用いた多分割型全周造波機による曳き波の発生技術の構築を行った。海上技術安全研究所が開発したCFDコード"NEPTUNE"を用いて船長200mの大型肥大船と痩形船(タンカーとコンテナ船)及び高速フェリーの航走波を計算した。数値計算で求めた航走波の波形を基に同所の実海域再現水槽の多分割型全周造波機に水位変動と造波面法線方向の流速を造波データとして与えて造波した結果,波高・波長ともに計算結果とよく一致しており,この航走波再現法の有用性を確認した。また,数種の船種による異なる船速での航走波を造波し,航走波を造る船種と船速及び距離による航走波の波高や波周期の関係が十分に表現できることを波検定で確認した。船長200mの肥大船と痩形船の12,14,16ktsでの航走波は船速を挙げると波高が大きくなり,肥大船の最大傾斜角は船速とともに造波するが痩形船は14ktsが一番大きくなり,16ktsでは少し減少することが分かった。 さらにこの造波法を用いて漂泊する小型漁船が航走波を受けた時の船体運動を計測した。供試模型は航走波を造る船と同じ縮尺の小型底曳網漁船を用い,航走波を受けた船体の運動を計測した結果,造波した航走波の波周期は小型底曳網漁船の横揺れ固有周期よりも長く,波長も船長より長いため,船体運動の変化は波高の変化にほぼ一致しており,航走波を造る船の船速が上がると運動は大きくなった。ただし,痩形船の16ktsでの航走波は最大波傾斜の減少に伴い横揺れが若干小さくなった。また,航走波を向波で受けた時の縦揺れと,横波で受けた時の横揺れと上下揺れが大きいことが分かった。
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