研究課題/領域番号 |
24360368
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
井上 朝哉 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球深部探査センター, 技術研究副主幹 (10359127)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 実海域掘削データ / ドリルパイプ / 疲労強度 / Drill Pipe Whirl |
研究概要 |
当該年度は以下の項目を実施した. (1)実海域掘削データ取得,および統計解析 掘削船「ちきゅう」の実海域掘削操業の掘削データの取得および統計解析を行い,その解析結果から掘削作業の問題点の抽出,および掘削効率向上に向けた検討を実施した. (2)ドリルパイプ疲労解析および実海域データより累積疲労推算 東北地方太平洋沖地震調査掘削(2012年4月~7月実施)においては大深度掘削を行うため,ドリルパイプの強度検討が必要であった.最大応力の観点に加えて,疲労強度の観点からも強度解析を行い,操業計画策定を行った.更に,その掘削データを用いて,実際の操業における累積疲労の推算を行う手法の構築を図った. (3)ドリルパイプ動的挙動の把握 長大なドリルパイプにおいては動的挙動の把握が重要であり,更に,その挙動をドリルパイプ上端の状態のみで把握できることは非常に有益である.その第一歩として,実験および解析の両面にて動的挙動の抽出を図った.従来から懸念されている縦振動,回転挙動であるStick-Slip,渦励振(VIV)に加えて,ドリルパイプの自励回転であるDrill Pipe Whirlが認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実海域掘削データを用いて掘削作業の問題点の抽出や掘削効率の向上に検討をまず第一に行い,本研究の方針の確認や重要性の認識を行った.その上で,近々に直面する課題であった大深度掘削で問題となるドリルパイプの疲労解析の実施し,更には掘削データを用いて実施に累積した疲労の推算手法の確立を行った.これは,実海域掘削データを用いた掘削効率向上に関する本研究の成果であるとともに,実際の掘削操業へ寄与するものであった. 一方,当初予定していたLWDデータ取得に関しては,掘削船「ちきゅう」の運航計画変更に伴い,次年度以降に実施することとした.また,現在は暫定で装備している掘削データ取得装置を用いており,研究目的に沿った装置の構築を行う予定であったが,掘削データを管理している掘削制御装置の更新計画が持ち上がり,その更新に合わせて掘削データ取得装置の構築を来年度行う.
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今後の研究の推進方策 |
掘削データを元に抽出した掘削効率向上に向けた複数の具体的課題に対して,実験的および解析的なアプローチにて研究を進める.主眼となる目的および課題は以下である. 目的・方針 (1)掘削データとして取得可能なドリルパイプ上端の情報のみでドリルパイプ挙動を把握 (2)掘削データを用いて挙動の推算,更には制御へと進める 課題 (1)疲労強度:ドリルパイプ曲げ応力の発現確率の推算 (2)Stick-Slip:ドリルパイプ下端のビット挙動の推算 (3)縦振動:変動張力の推算およびドリルパイプ下端への伝搬特性の把握 (4)自励振動(Drill Pipe Whirl)の把握これに加えて,実海域掘削データ取得装置の構築,LWDデータの取得,更には,実海域掘削データを用いて船上でドリルパイプ挙動のリアルタイムでの把握へ向けた検討を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
以下の目的での研究費の使用を計画している. (1)掘削データ取得装置の構築 本研究の中核である掘削データ取得装置の構築,および取得したデータの検証を行う.更にLWDデータ取得のために必要に応じてセンサー購入などを行う. (2)データ解析取得した掘削データ,およびLWDデータの解析に当たり,パソコン購入・ソフト購入・作業補助などを行う. (3)挙動解析・実験ドリルパイプの挙動把握のために実験的および解析的アプローチにて研究を行う.簡易的な模型試験を行う必要性を確認し,実施する場合は実験備品や消耗品の購入などを行う. (4)研究成果発表および情報収取 研究成果の国際会議での発表および関連情報収集のために出張を行う.
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