• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

実海域掘削データ融合シミュレーションの構築による掘削効率向上に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24360368
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

井上 朝哉  独立行政法人海洋研究開発機構, 地球深部探査センター, 技術研究副主幹 (10359127)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード掘削データ / Stick-Slip
研究概要

本研究は,掘削データの分析およびシミュレーションを行った上で,それらを融合させて掘削状況を把握し,掘削効率を向上させることに主眼を置いている.平成25年度は,主として以下を実施した.
1.これまでに取得した地球深部探査船「ちきゅう」における掘削データの統計解析を行い,掘削作業情報や採取した地層サンプルから得られた地層データの分析を行うことで,掘削効率や地層分析を行う上で有用な掘削データの抽出,およびシミュレーション対象の確認を実施した.これにより,船上掘削データを活用することで,掘削作業中にリアルタイムで掘削効率の向上,更には掘削地点での地層情報の一部が得られる可能性を確認した.
2.大深度掘削を行う上で大きな問題となるドリルパイプの疲労累積につき,実際のドリルパイプの疲労試験,並びに船体動揺を考慮した掘削作業に伴うドリルパイプ疲労累積の理論構築を行い,数値解析を実施し,その上で,過去の掘削データを活用して,実際の掘削作業で蓄積した累積疲労の推算を行った.
3.長大線状構造物であるドリルパイプの掘削に伴う回転により惹起される自励振動に関する模型試験を実施し,その発現過程の観察,挙動特性,および掘削パラメータによる依存性の把握を行った.
4.地球深部探査船「ちきゅう」における掘削制御システムの大規模システム更新が進められており,それに伴い,新システムに対応した新規の掘削データ取得装置のソフト開発およびシステム構築を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の核となる実海域掘削データ取得に関して,地球深部探査船「ちきゅう」の掘削制御システムの大規模システム更新を行うこととなり,それに伴い,従来のシステムでの掘削データ取得が実施できなくなる見通しとなった.このため,平成25年度は当初の研究計画に含まれていなかった,ソフト開発を含めた新たなデータ取得装置の構築の必要が生じた.
一方で,この新しいデータ取得装置構築には当該研究を活用した,取得データを用いたシミュレーションを追加できる機能も入れており,当該研究の一部を前倒しで実施した側面もあるため,全体計画としては大きな遅れではない.

今後の研究の推進方策

これまでの研究を通じて,掘削データを用いたシミュレーションの活用の方向性を確認できたため,その方向に注力すると共に,若干の進捗遅れを補完する.具体的には,当該年度実施予定であった数値シミュレーションにおいては,平成26年度早期完了させるとともに,一部のシミュレーション計算作業や結果の検証などを行う研究分担者を追加し,更に,これまでの研究で判明した数値モデルの構築の考察のために,研究分担者を追加し,研究を加速させる.
掘削データ分析およびシミュレーションを行った上で,それを融合させて掘削状況を把握させることに主眼を置いており,最終段階となる平成26年度は以下を中心に実施する.
1.これまでに理論構築し一部シミュレーションを行ったドリルパイプおよびドリルビット挙動に関して,パラメータを変動させてシミュレーションを実施しパラメータ依存性の確認を行う.
2.これまでの研究において,掘削データを用いて,掘削効率並びに掘削地層情報をリアルタイムで得られる可能性を得ることができたので,別の掘削航海における掘削データにてその確認を行うと共に,リアルタイムで掘削効率や地層特性情報を表示する計測融合シミュレーションを構築する.
3.これまでの研究において,大深度掘削を行う上で大きな問題となるドリルパイプの疲労累積について理論構築を行い,掘削データを融合させる融合シミュレーションの構築を行った.平成26年度は,リアルタイムで疲労累積を表示するシステムの構築を行う.

次年度の研究費の使用計画

本研究の核となる実海域掘削データ取得に関して,地球深部探査船「ちきゅう」の掘削制御システムの大規模システム更新を行うこととなり,それに伴い,従来のシステムでの掘削データ取得が実施できなくなる見通しとなった.このため,当初予定していた現状のデータ取得装置に関する研究費使用を,新規データ取得装置の設計完了後に行うこととした.
地球深部探査船「ちきゅう」の掘削制御システムの大規模システム更新に伴い,新規データ取得装置のソフト開発およびシステム構築を実施している.
平成26年度は,その新規データ取得装置に適応した,リアルタイムで取得した掘削データを用いたシミュレーションの構築に使用する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 掘削作業に伴うドリルパイプのVIVおよび自励回転であるDrill Pipe Whirlに関する実験的研究2013

    • 著者名/発表者名
      井上朝哉,林昌奎,吉田善吾,許正憲
    • 学会等名
      日本船舶海洋工学会秋季講演会
    • 発表場所
      大阪府立大学 I-siteなんば, 大阪府
    • 年月日
      20131111-20131112
  • [学会発表] Fatigue Strength Evaluation of Drill Pipe for Challenging Deep Drilling Project - Japan Trench Fast Drilling (JFAST)2013

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Inoue, Masanori Kyo, Koji Sakura
    • 学会等名
      International Ocean and Polar Engineering Conference (ISOPE)
    • 発表場所
      Anchorage Convention Center, USA
    • 年月日
      20130630-20130704
  • [学会発表] Experimental Study on the Characteristics of VIV and Whirl Motion of Rotating Drill Pipe2013

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Inoue, Chang-Kyu Rheem,Masanori Kyo,Hide Sakaguchi,Miki Y Matsuo
    • 学会等名
      International Conference on Ocean, Offshore and Arctic Engineering (OMAE2013)
    • 発表場所
      La Cite Nantes Events Center, France
    • 年月日
      20130609-20130614
  • [学会発表] 実海域掘削データのドリルパイプ疲労累積推算への 活用について2013

    • 著者名/発表者名
      井上朝哉,勝井辰博
    • 学会等名
      日本船舶海洋工学会春季講演会
    • 発表場所
      広島国際会議場, 広島県
    • 年月日
      20130527-20130528

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi