研究課題
本研究では、①福島第一原子力発電所事故で環境中に放出されたセシウムと土壌中の粘土鉱物の関係を処理・処分の観点から明らかにし、②汚染土壌から粘土鉱物フラクションを効率よく分離し処分する土壌の減容化を可能とする分級方法を検討し、③実施の可能性の高い合理的で安全なセメント固化法について提案することを目的とした。その結果、以下のことが明らかとなった。①様々な利用形態の土壌中のセシウムの存在状態を調べたところ、水に可溶および交換性のセシウムは10%程度で、残り90%程度は土壌に含まれる細粒な鉱物粒子に固定化された懸濁体であることが判明した。このセシウムを固定化している粒子をイメージングプレートで分離し、高分解能透過型電子顕微鏡で詳細に観察したところ、放射性セシウムを多く吸着している粒子は、複数の鉱物の凝集態、有機物と鉱物の複合体、風化雲母片に大別されることが明らかとなった。また、これらに含まれる鉱物は、バーミキュライト、Fe含有Al系スメクタイト、風化黒雲母であることも明らかとなった。②セシウムを固定化している粒子は、多孔質天然材料である珪藻土によって捕集可能であり、通常土壌汚染対策等で採用されている湿式分級法により分級可能で、分級により細粒分を除いてから研磨作用をもたせた処理と分級洗浄を行う方法により,分級洗浄による放射性セシウムの分離効率を著しく向上できることが明らかとなった。③除染廃棄物のうち容易にセシウムが溶出する焼却灰等は放射能が高い場合があるので、ゼオライト等で吸着除去した後に処分することが予想されるが、通常のスラグセメントで浸出性の低い安全な固化体となることが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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