研究課題
銅鉱石中の不純物であるヒ素(As)およびアンチモン(Sb)を含む四面銅鉱((Cu, Fe)12(As, Sb)4S13)からのAs, Sbの除去に加え、これら不純物を除去するための鉱物処理技術の開発を目的に、浮遊選鉱法(浮選)と湿式分離プロセスを利用した分離条件の調査と分離プロセスの構築を行った。浮選では、四面銅鉱と黄銅鉱の分離性を調査し、前年度まで実施した硫砒銅鉱(Cu3AsS4)との相違点などを比較検証した。硫砒銅鉱では、浮選溶液をpH4とし、捕収剤と起泡剤の組み合わせによって分離性を発現させることができるが、四面銅鉱では明確な分離条件を確認することができなかった。ただし、粒子表面を酸化させる抑制剤の添加や浮選段数を増段することによって、回収率に差が生じるなど効果を改善できる可能性が確認された。一方、湿式分離プロセスを利用した研究では、NaOH, NaHSを混合したアルカリ溶液によって四面銅鉱を浸出すると、AsとSbは90%以上が浸出し、Cuと明瞭に分離できることがわかった。さらに、鉱石に含まれる金属成分M(Cu, Fe, As, Sb)と浸出液中の硫黄(S)の量論的な関係を考察した結果、硫黄Sと金属成分Mのモル比であるS/M比が増加するのにしたがってAsとSbの浸出率が上昇し、S/M比が12.4以上になれば両者の浸出率が90%以上に達することを明らかにした。また、浸出液中のAsとSbを沈殿(析出)分離する手段として、浸出液中のAs, Sb量を算出し、固体硫黄をモル比で0.25以上になるように加えると、AsとSbがナトリウム塩として90%以上沈殿することがわかった。また沈殿したAs, Sbを分離した浸出液は、NaOHとNaHSを所定量加えることによって四面銅鉱の浸出に再利用できるなど、高不純物含有銅鉱石の処理に有用な新しいプロセス技術を構築することができた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of MMIJ
巻: 131 ページ: 27-32