研究課題
基盤研究(B)
本年度の研究実績は以下の通りである。1、アレー型ボアホールレーダへのパルスレーダシステムの導入:アレー型ボアホールレーダはステップ周波数方式が採用されていた。測定対象が坑井から離れている場合にはパルスレーダ方式が有利になる.本年度はこのパルスレーダ用パルス発生器を試作した。トリガー信号は地表で周期50msで発生させ、シングルモード光ファイバで地中の高周波パルス発生器へ伝送する。この発生器、2次電池及び光/電気変換回路は円柱形状のシャーシ(φ41.3mm×770mm)に内蔵される。発生パルスのパルス幅は約5nsであり、最大電圧は100Vである。このパルスはボアホールレーダの測定周波数帯域を十分にカバーする。2、波の到来方向及び偏波状態の同時推定用アンテナの開発:斜め形状をしたダイポールアンテナを素子とするアレーアンテナを開発対象とした。FDTD法によって、このようなアンテナへ直交する2つの偏波を入射した場合の給電点での電圧を計算した。その結果、アレー信号から入射した波の到来方向だけでなく、偏波状態も推定できる可能性があることがわかった。この数値計算で用いたアンテナモデルを実際に試作し、坑井内に挿入し、坑井の外から電磁波を入射したところ、数値計算と同様な結果が得られた。3、アレー型ボアホールレーダによる神岡鉱山(岐阜県)での断層計測:比較的均質な媒質中に3次元位置形状が既知である断層が存在する本実験場内にある水平坑井で計測を行った。断層付近でダイポールアレーアンテナを走査したところ、断層から明確な反射波を受信した。受信したアレー信号を解析することで、断層の3次元位置と形状を推定することができた。この結果より、断層の3次元計測にダイポールアレーアンテナの使用が有効であることが確認できた。
2: おおむね順調に進展している
実施計画で掲げていたレーダシステムの試作、大学構内における試験及び神岡鉱山におけるフィールド実験をおおむね実施することができたため。
レーダシステム試作、数値計算による検証及びフィールド実験による実証までを行うことが本研究の特色であることを踏まえた上で研究を推進する。
旅費・人件費については予定通り研究を遂行しながらも節約することができたため、全体として10%程度の残金がでた。一方、次年度はレーダシステムのパルス方式化のための物品が必要となるため、物品費が不足する可能性がある。来年度は今年度の残金を活用していくことができると考えている。
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IEEE Transaction on Geoscience and Remote Sensing
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http://research.osakac.ac.jp/index.php?%E6%B5%B7%E8%80%81%E5%8E%9F%E3%80%80%E8%81%A1