研究課題/領域番号 |
24360377
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
倉持 秀敏 独立行政法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 室長 (50353537)
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研究分担者 |
大迫 政浩 独立行政法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, センター長 (00260266)
鈴木 剛 独立行政法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (70414373)
福井 啓介 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50047635)
前田 光治 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00264838)
小林 潤 工学院大学, 工学部, 准教授 (60314035)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオ重油 / トラップグリース / 晶析分離 / 相平衡 / バイオアッセイ / エンジン燃焼試験 / 環境負荷低減 |
研究概要 |
バイオ重油の精製、つまり、高融点の飽和脂肪酸類を除去する技術開発では、回転冷却管式の融液晶析を適用し、昨年度とは別の飽和脂肪酸に対する分離実験を行い、晶析物の濃度や収量と操作因子の関係を実験的に明らかにした。実験データを用いてこれまでに検討してきた晶析現象を表すモデルの検証を行い、操作と純度および分離効率の関係を解析した。また、実グリースを用いて実験し、これまでの研究成果との差について組成変化等の観点から考察し、連続分離実験系の設計を行った。 バイオ重油と既存の重油との混焼利用の検討では、昨年度のA重油と混和性のテストから常温固体成分の固液平衡の重要性が示唆されたため、常温固体成分とモデル重油およびA重油の固液平衡を測定し、バイオ重油を構成するトリグリセリド類等およびA重油を構成する炭化水素類の組成が平衡関係に与える影響を明らかにした。さらに、バイオ重油との固体平衡のデータを蓄積しつつ、混和条件と組成の関係を熱力学モデルによって推定した。また、A重油規格を満たすための課題と対策を整理した。 バイオ重油の安全性評価については、昨年度に妥当性を評価した多環芳香族を検出できるバイオアッセイをバイオ重油および重油系へ適用・評価するとともに、排ガス系の試験に着手した。 バイオ重油モデル系および実バイオ重油をA重油に混合した燃料を用いて、小型ディーゼル発電機に供して燃焼実験を行った。バイオ重油の熱量等を考慮して、燃焼効率、発電効率および排ガス中の大気汚染物質に与える影響を明らかにした。実バイオ重油の添加により、燃料消費量は低下できたが、発電効率に若干の低下がみられた。また、実バイオ重油では、2%添加でも一酸化炭素の増加が観察され、エンジン燃焼時に粘性等を踏まえた対応の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多種類の高融点飽和脂肪酸の除去を目的とした融液晶析分離法を最適化し、実グリースへの適用ができた。バイオ重油と既存の重油との混合利用においては、化石燃料と常温で固体化する飽和脂肪酸類の固液平衡が最も重要で、その平衡関係を十分整備でき、混合操作の設計の基礎データを取得した。さらに、重油規格適応へ向けた課題を整理できた。燃料に加えて排ガスの安全性評価を検討できつつあり、エンジン燃焼試験も混焼率が若干低いものの比較的順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
バイオ重油の精製として、実グリースを対象に連続系融液晶析分離の実験へ展開する。重油との混合利用については、最も重要な固液平衡の知見が論文化されていないことから、成果発信を加速化するとともに、他の重油代替との混和性を検討する。安全性評価およびエンジン燃焼試験については、混焼率を上げつつ組成の影響を把握する。昨年度に排ガスの質が悪くなった点については今後改良し、加えて、排ガス分析も精度を上げつつ、可能な限りクリーンな排ガスとして排ガスの安全性を評価していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の論文化が遅れてしまい、予定していた英文校閲を実行できなかったことに加えて、予定していた国際会議について他の業務との関係から変更する必要があり、校閲と旅費を次年度へ繰り越しを行った。 現在複数の論文を執筆しており、繰り越しの一部を執筆中の英語論文の校閲費として執行する。また、残額を学会発表の旅費として執行する。
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