研究実績の概要 |
3D-CADと有限要素法を駆使して機器の設計を行い、 垂直位置安定効果を実証する小型トカマク装置を完成させた。トロイダル磁場コイル通電試験と、真空容器の排気テスト・リークテストおよびベーキングを実施した。また、マイクロ波発振源 (2.45 GHz, 4.5 kW) を用いた電子サイクロトロン共鳴(ECR)よるプラズマ生成を実際に確かめた。さらに、55 kW誘導電動機に弾み車を組み合わせたフライホイール電源を、コイル電流制御のDCチョッパと発電機制御のインバータで構成して、1秒間を超えるトロイダル磁場発生し、その間ECRプラズマを維持できることも実証した。実験で得られるMHD平衡を再構成するための磁気センサーである磁束ループと磁気プローブをリミター構造物と組み合わせ、真空容器内に設置した。
展開図では平衡四辺形でトーラス内側を通らない簡易ヘリカル形状コイル1組をトーラス片側にだけ配置しても、プラズマの垂直位置の安定化効果あるのに加えて、トロイダル磁場との合成で生じる垂直磁場成分で、プラズマ電流が半減しても磁気軸シフトがわずかあることを、3次元MHD平衡解析コードVMECを用いた計算で明らかにした。簡易ヘリカルコイルとトロイダル磁場コイルの合成磁場をトーラス方向に平均した実効的垂直磁場は大半径(対称軸からの距離)とともに急激に増大し、大半径方向に拡がろうとするプラズマのフープ力とバランスするアンペール力の大半径依存性も強くなる。そのため、プラズマ電流またはプラズマ圧力の急変により急激にフープ力が変化しても、プラズマの水平位置の変化は狭い範囲にとどまることを見出した。この作用により、MHD不安定性等でMHD平衡配位が乱れても放電停止にいたる主ディスラプションが発生するのを抑制できることが期待される。
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