研究課題/領域番号 |
24360380
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
鳥養 祐二 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 准教授 (80313592)
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研究分担者 |
栗下 裕明 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50112298)
磯部 兼嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (00354613)
小柳津 誠 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (60516855)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プラズマ・壁相互作用 / タングステン / トリチウム蓄積 / ITER |
研究概要 |
ITERでの使用が計画されているタングステン(W)ダイバータにおけるトリチウム蓄積量の評価は、極めて重要でありながら、トリチウム取扱施設が極めて限られているため、実際にトリチウムを使用した研究例は国際的にも少なく、報告されたトリチウム蓄積量の間には大きな食い違いが認められる。そこで本研究では、トリチウム・プラズマ照射・W材料の各研究者が共同し、まず、報告値の食い違いの原因と考えられるW試料の加工度や焼鈍条件の効果を明らかにしてトリチウム蓄積量の統一的評価法を示す。次に、その評価法を用い、ITERグレードの純Wおよびナノ複合組織をもつ高靭性Wについて、ITERダイバータを模擬したプラズマ条件で照射した後、トリチウム蓄積量を評価し、ITERダイバータに有用な実用データを取得する。さらに、トリチウム蓄積量最小化のため、Wの加工・焼鈍条件を提案する。平成24年度はW材料の中で基本となる再結晶純Wの鏡面研磨材、および ITERへの使用が検討されているITERグレードWを中心に、その基礎物性を調査すると共に、これらWへのトリチウム蓄積量の測定を行った。また、ITERダイバータでの使用を考慮し、先進W材料の調製と、イオン照射材料作製のための準備を行った。その結果、再結晶WのITERにおける使用温度でのトリチウムの捕獲量は、過去にFrauenfelderによって報告されている高温での溶解度の外挿値から予測される量と比較して2桁から4桁も多いことを明らかにした。また、Ar気流中の大気圧下、および真空中でのトリチウムの放出挙動の測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放射性物質を取り扱うためトリチウム捕獲量測定試験が一部遅れているが、先進W材料の調製とイオン照射材料の作製のための準備は計画以上に進んでおり、一部試料の調製も始まっている。全体としておおむね順調に進んでいると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
トリチウム捕獲量測定用試料の作成は順調に進んでいるので、今後は、トリチウム捕獲量の測定を重点的に進める予定である。また、本成果は、ITER炉内のトリチウム蓄積量評価に関連する重要な知見であるため、積極的に成果報告を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
東北大学の栗下裕明准教授(申請時、現:技術支援員)が平成25年3月31日をもって退職されたが、引き続き東北大学において技術支援員として職務に就いている。東北大学では技術支援員に原則科研費の分担資格を認めていないが、資格の有無について所属部局で協議した結果、8月1日付で科研費申請資格無しとの判断がされた。そのため、本事業の研究分担者から削除することとなった。それに伴い、予算の使用計画に変更が生じた。 栗下裕明准教授は、本事業の中で、ナノ組織先進タングステン材料の製造とそのキャラクラリゼーション、およびタングステン材料の加工・焼鈍を行っているが、応募資格喪失後の現在も東北大学に在籍しており、研究分担者からは外れるが、引き続き研究協力者として本研究に尽力いただく予定である。栗下先生の分の分担金は研究代表者である申請者が責任を持って研研究に使用する予定である。
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