研究課題
基盤研究(B)
トーラス型磁場閉じ込めプラズマに対し、収束した超音速ガス流を入射することで、プラズマを対向部(ダイバータ)から切り離すデタッチメント(非接触化)の物理機構を解明し、新手法として確立することが本研究の目的である。超音速ガス流による局所的密度変動を検証するため、電離過程を高速カメラで二次元分光計測し、局所的な密度及び温度分布の変化を高時間分解で求める。平成24年度は高速二次元分光計測を行う視野を設定し、既設の高速カメラを用いて視野と光量を確認するための予備実験を行った。十分な視野を確保するために、超音速ガス入射装置の設置場所変更も実施した。本研究では超音速ガス流の発光画像を透過波長幅の異なる分光フィルターを通して1台の高速カメラで同時撮像し、これらの強度比から電子密度分布を求める。このため、観測窓から高速カメラまでを本補助事業で購入した5分岐イメージングファイバーを用いて接続した。プラズマ実験を行い、イメージングファイバーを経て得られる画像の視野を確認すると同時に、入射ガスの発光を既設分光器に導入してスペクトルを計測し、光量を確認した。入射ガスはヘリウムとし、線強度比法を用いて密度・温度計測を試みた。その結果、視野は適切であり、プラズマ周辺部のパラメータ計測が可能であることが示された。同時に、SSGPのガス流が想定していたよりも広がっており、プラズマとの接触面積が大きいことも明らかとなった。局所的な密度増大によるプラズマ周辺部冷却という当初目的を達成するためには、超音速ガス流を発生するラバールノズルの改良が必要である。また、ノズルのガス出口をよりプラズマに近づけることも有効である。このため、長さ2m以上のラバールノズルを導入するための検討を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初計画通りに超音速ガス入射装置の設置位置変更とイメージングファイバー等計測系の整備を完了し、プラズマ実験を行って線強度比法が適用可能であることを検証できた。実験の結果、ガス流が当初の想定よりも広がっていたため、その対策が必要となったが、超音速ガスを発生するラバールノズルを大型化することでこの問題を解決できる見通しを得た。
ラバールノズルを大型化し、超音速ガス流の収束性を高めることで、本研究の目的である局所的な密度増大によるプラズマ周辺部冷却を実現する。このため、当初計画では整備する予定であった高速カメラについては購入せず、現在借用している既設の高速カメラを引き続き用いることとする。
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Plasma Physics and Controlled Fusion 54 (2012)055006
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Nuclear Fusion
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