研究課題/領域番号 |
24360384
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西浦 正樹 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (60360616)
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研究分担者 |
長坂 琢也 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40311203)
藤本 靖 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 講師 (70343241)
谷池 晃 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (50283916)
山岡 人志 独立行政法人理化学研究所, 石川X線干渉工学研究室, 専任研究員 (30239850)
松本 新功 徳島文理大学, 人間生活学部, 講師 (50441598)
田中 照也 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (30353444)
木崎 雅志 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (70598945)
島添 健次 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70589340)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アルファ粒子 / 核融合 / ガンマ線 / 耐放射線 / 中性子 / イメージ / プラズマ計測 / 多チャンネル検出器 |
研究概要 |
本研究は核燃焼プラズマ中のDT反応で発生した3.5MeVアルファ粒子の閉じ込め物理に関する研究を行うことを目的としている.そのために,今までに無い高エネルギー粒子検出手法(損失アルファ粒子誘起ガンマ線スペクトロスコピー)を提案し,確立に向けた開発研究を行う.核融合炉の第一壁へ損失してくる高エネルギーアルファ(損失アルファ)粒子とベリリウム第一壁との衝突反応9Be(α;,nγ)12Cにより誘起された4.44MeVγ線の検出がその基本原理である.観測されたγ線から元の損失アルファ粒子の振る舞いを理解することが可能になる.γ線検出器は真空容器壁から離れた場所に設置することも可能となり,アルファ粒子を直接シンチレータで検出する従来の損失アルファ粒子検出器の課題であった,検出器の設置場所の確保,多チャンネル化,耐熱・耐放射線性を解決することが可能である. 本年度は主として以下の3項目の研究を推進した. (a.1)γ線イメージング検出システムの設計と製作,及び性能試験:γ線APDアレイ検出器を選定し,線源・加速器ビームを用いた性能試験を行った.アレイ検出器の信号読み出しの試験と改良を行った.ガンマ線輸送コードを用いた鉛コリメータの設計を行った. (a.2)HPGe検出器の導入:昨年度から引き続きα粒子のエネルギーと粒子束を制御した実験を行うため,神戸大タンデム加速器施設にて加速器ビームを利用した実験を行った.ガンマ線のドップラー広がりを計測し,その結果,ガンマ線スペクトルの角度依存性の存在が明らかになった.そのメカニズム解明と定量評価に向けた基礎データを取得した. (b)耐放射線光学材に関する研究:東北大金研大洗施設においてこれまでよりフラックスの高いBR-2を用いた原子炉照射のための試料を用意した.耐放射線性に関する知見を得ることが目的である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(a.1)γ線イメージング検出システムの設計と製作,及び性能試験 ○我々が必要とするガンマ線検出器は東大で医療用に開発された検出器が利用できるようになった.神戸大において昨年度に引き続きAPDアレイ検出器にコリメータを取り付け,Be-α反応によるビームプロファイル計測実験を行った.APDアレイ検出器は4.44MeVに最適化する必要があることが分かった.ほぼ計画通り進んでいる. ○EGS5を用いてコリメータとシンチレータの最適化を行った.ほぼ計画通り進んでいる. (a.2)HPGe検出器の導入:H24年度にHPGe検出器を導入し,ガンマ線の詳細なスペクトル取得に利用した.得られたガンマ線スペクトルは検出方向の角度依存性が存在することがわかってきた.引き続きそのメカニズムの解明を行っている.ほぼ計画通り進んでいると同時に新たな現象に出くわしたため,過去の文献などの調査を行っている. (b)耐放射線光学材に関する研究:新たに耐放射線性を持つ材料の探査を行うため,照射試料を用意し提出した.ほぼ計画通り進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
(a.1)γ線イメージング検出システムの設計と製作,及び性能試験 ○今後はγ線イメージング検出システムを用いて実際のプラズマ計測への対応が必要となってくる.γ線イメージング検出システムを2視線以上用いて加速器実験を行い,ビームプロファイルを計測できることを確認する必要がある.検出器の健全性を確認後,研究代表者の西浦が東京大学の磁気圏型プラズマ実験装置RT-1において生成したプラズマを対象として,高エネルギー電子からのX線イメージング計測から高エネルギー電子の空間分布や温度分布計測を行うための準備に取り掛かる予定である.シングルチャンネルの軟X線計測によりカウント数などを確かめる必要がある. ○シンチレータとコリメータの最適化を引き続き継続する予定である. (a.2)HPGe検出器の導入:ガンマ線のドップラースペクトルについて引き続きその解釈を行う必要がある. (b)耐放射線光学材に関する研究:新たに耐放射線性を持つ材料の探査を継続する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者がH25年度に半年間外国に滞在していたこと,また所属変更があったことに伴い,成果報告のための国際会議旅費を次年度に繰り越すことにした. 物品については加速器実験のために必要なコンピュータ購入に使用する. H26年度に国際会議において成果を報告する予定である. 物品については加速器実験のために必要なコンピュータ購入に使用する.
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