研究課題/領域番号 |
24360397
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前畑 京介 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30190317)
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研究分担者 |
満田 和久 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (80183961)
高崎 浩司 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 大洗研究開発センター安全管理〓〓〓監視線量計測課, 課長 (00446444)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 原子力計測・放射線物理 / 放射線工学・ビーム科学 |
研究概要 |
【目的】プルトニウム(Pu)同位体のα崩壊生成物であるウラン(U)元素は、内部転換に伴い10keVから20keV領域で多数のLX線を放射する。このときU元素から放射される個々のLX線強度は、親核種であるPu同位体により異なる。本研究では、Pu同位体のα線スペクトルとα崩壊生成物であるU元素の個々のエネルギーのLX線放射強度比とを利用する、新しいPu同位体分析法を提案する。 【研究の方法】Pu同位体試料から放射されるU元素のLX線を、多ピクセル超伝導転移端センサー型X線検出器で半値幅50eVより優れたエネルギー分解能でスペクトル計測するとともに、半導体検出器でα線スペクトル計測を行う。計測で得られたLX線放射強度比とα線スペクトルとを解析することで、従来困難であった239Puと240Puの同位体を弁別し、定量する。 【平成24年度の成果】 TES型X線検出器の開発:当初は面積が1mm×1mmで厚さ15μmのSn吸収体をTES上にSU8エポキシ樹脂を挟んで接着したマッシュルーム構造吸収体を有する単ピクセルTES型X線検出器を開発する予定であった。 しかしながら、先行研究で開発した技術を有効に活用して、マッシュルーム形状吸収体は、電析により厚さ10μmのCuをTESの上に積層し、吸収体の総面積は0.8mm^2となるように10ピクセル配置のTES型X線検出器の設計・作製を行った。TESはTi/Au/Tiの三層構造で転移温度は100mKに設計した。マッシュルーム形状吸収体形状を保持するため傘部とTESとの間にSiO2絶縁層を挿入した。TES作製したTES型X線検出器は、70mKの温度に冷却してもTESの超伝導転移が確認できなかった。 241Am線源とPu同位体LX線スペクトル計測実験:九大において、先行研究で開発したTES型LX線検出器システムを使って241Am線源から放射されるLX線のスペクトル計測を行い、17.8keVのLX線を60eVの半値幅でスペクトル計測した。このTES型LX線検出器システムを九大からJAEAのPu取扱施設へ搬送し、Pu標準線源のLX線スペクトル計測実験を実施し、LX線スペクトル計測により241AmとPu同位体が分離できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マッシュルーム形状吸収体を有する10ピクセルTES型X線検出器を設計・作製したが、TESが超伝導転移せず、検出器として動作しなかった。 先行研究で開発したTES型LX線検出器システムを九大からJAEAのPu取扱施設へ搬送し、241AmL線源とPu同位体標準線源を用いたLX線スペクトル計測実験を行い、LX線スペクトルにより241AmとPu同位体が分離できることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
マッシュルーム形状吸収体を有する10ピクセルTES型X線検出器のTESが超伝導転移しなかった原因を究明し、素子作製プロセスを修正する。 JAEAにおいて、241Aro線源とPu同位体標準線源を用いたLX線スペクトル計測実験を継続し、LX線放射率評価法を検討する。
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