研究課題/領域番号 |
24360398
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
原 一広 九州大学, 工学研究院, 教授 (00180993)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海中ウラン / ゲル / 捕集 / 吸着 / アミドキシム基 / アクリルアミド / レアメタル / ラジカル共重合 |
研究概要 |
今年度はppbレベルで希薄に存在する海中ウランの捕集を海中の条件(高濃度の他元素が共存)下で実用化するための基礎検討を行った。その結果、捕集官能基であるアミドキシム基の増加に伴いウランの吸着量も増加していることが確認できた。吸着量は最大でゲル1gあたり200μg程度が確認された。これを乾燥重量あたりに換算するとゲル1kgあたり大体ウラン20~40g程度である。この値は先行研究の不織布捕集材の約10倍であり、ゲルによって官能基の密度を高めた効果を如実に反映する結果となった。 一方他元素については、アミドキシム基の増加と吸着率の変化との間にウラン程の明確な相関は確認できず、元素によってその変化は様々であった。このことからアミドキシム基はウランに対し選択性が強いことが確認できた。次に塩化ナトリウムを加えウラン吸着量への影響を測定したところ、塩化ナトリウムの濃度を1000倍変えてもウラン吸着量に明確な差は現れなかった。 当初の予定では海水中での複数のウラン以外の高濃度イオンの多段分離の為に異なる分離能を持つ層を導入する予定であったが、実験結果よりゲル捕集材に導入する官能基の選択とゲルの密度を適当に選ぶことによって、現在の捕集能力では目標元素以外の高濃度イオンの影響はほとんど受けないらしいことが明らかになったので、現在は高効率化や他の元素に対する吸着の検討を進めることにしている。 なお、ウランにおいて塩化ナトリウムの影響が現れにくいことは先行研究における捕集材ではある程度示唆されていたことであるが、現状のゲル捕集材中では先行研究の場合に比べて捕集能力が高く、高濃度のイオンの影響は逃れられないと考えており、今後捕集効率の向上に伴って、再度実験および計算でその影響を調べる必要があるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
障害になると予想された高濃度イオンの影響が小さかったことから順調に計画が進んでいる。ただし、今後更なる高効率化を目指す時点で再度の検討が必要になる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究は概ね当初の予定通り進行している。昨年後半に研究に不可欠の微量元素分析用の誘導結合プラズマ質量分析装置が我々の組織に導入されたことにより、共用装置に頼る必要が無くなったため、今後は研究のスピードア〓〓が図れるものと期待している。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年導入された微量元素分析用誘導結合プラズマ質量分析装置を使うことにより十二分な実験を行うことが可能になったが、同時に分析用ガスやその他の消耗品費が大きく膨らむことが分かった。そこで年度をまたぐことが可能な基金分可能な限り残し、来年度に備えることとした。
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