研究課題/領域番号 |
24360399
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
鳥居 建男 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島環境安全センター, 研究員 (20421795)
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研究分担者 |
鴨川 仁 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (00329111)
井口 哲夫 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60134483)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境放射線 / 雷雲 / 大気雷場 |
研究概要 |
日本海沿岸の原子力発電所周辺に設置されている環境放射線モニタでは、冬季雷発生時に放射線量(率)が数十秒から数分程度上昇することがある。これらの放射線のエネルギーは、申請者のこれまでの研究から、3~20MeVと高い。その起因として2次宇宙線起源の高エネルギー電子が雷雲の強電界によって加速され、制動放射線を発生したためと考えられる。それゆえ、本研究ではこの仮説を観測および数値計算にて検証する。今年度行った研究項目は以下の通りである。(1) モンテカルロシミュレーションで冬季雷時の雷雲下部から発生する放射線の挙動計算を行った。計算結果は観測に一致し、前述の仮説を支持する結果を得た。結果は学術論文として投稿した。 (2) 夏季の積乱雲内の電場構造の推定を行った。夏季観測では電場観測が設置個所の制約から1点しかないが、レーダーエコーのデータを組み合わせることにより、おおむねの電場構造は見積もれた。結果は学術論文として投稿準備中である。 (3) 夏季時は、地表と雷雲の相対距離が短い富士山山頂で観測を行った。本年度は富士山頂の雷雲発生が当初の予測より少なく、目的とするデータ取得ができなかった。しかし、翌年に増強した観測が行えるよう新たな観測地点の調査と予備計測を行い、候補地を見つけた。 (4) 冬季期間中は敦賀半島の日本原子力研究開発機構「ふげん」周辺5地点で観測を行った。冬季の観測においても、設置期間に目的とするデータが検知できなかった。しかし雷雲時の大気電場のデータは多く取得ができた。それゆえ取得したデータから雷雲内電場の導出を試み、今後の観測への準備を行った。 (5) 本目的に特化した放射線測定機器である高時間分解能のシンチレーションファイバー型の放射線入射方向検出器の開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
夏季・冬季観測ともに、天候に恵まれず目的とするデータの取得はできなかったが、それとは別にシミュレーション、装置開発、過去データの解析が順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
現在査読中の論文の受理および現在のシミュレーションの成果を論文として投稿する。開発した放射線測定装置のテストおよび試験観測を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
富士山頂の雷雲発生が、当初の予定よりも少なかったため 観測に関する経費、データ解析に関する謝金、研究打ち合わせのための旅費に主として使用する予定である。
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