研究概要 |
本研究では,高品位石炭である石炭コークスや低品位さ・高含水分率の低品位の褐炭を流動層化し,太陽集光照射下でガス化する"ソーラーガス化反応器"を開発することを目的としている。炭素資源に含まれる炭素と反応器に供給される水蒸気とのガス化反応(C+H2O(g)→H2+CO)が吸熱反応であり,供給される太陽集熱の一部が吸熱され,水素と一酸化炭素との合成ガス(H2+CO)に転換される。生成した合成ガスの総熱量の約30%が太陽熱由来となり,太陽エネルギーの化学エネルギーへの転換が行える。得られた合成ガスは液体燃料に転換できることから,太陽エネルギーの貯蔵・輸送が容易となる。今年度は,ソーラーガス化反応器を5kW級で製作し,新潟大学所有の太陽集光シミュレーターによる石炭コークスの水蒸気ガス化について集光照射試験した。反応条件および反応システムの検討により,ガス化速度3-4倍向上し,炭素転換率が60%,集光→化学エネルギー変換効率約10%を得た。 また,反応器の集光試験用に大型30kW太陽炉シミュレーター(出力7kW×19灯)を新潟大学に新規導入し,30kW級反応器の照射試験が行える環境が整った。さらに,100kWビームダウン太陽集光システムが整備され,集熱分布および集熱量測定を2012年10月27-30日に三鷹光器(株)と共同で実施した。第二焦点(下方焦点)位置で80-100kWの集熱が得られることを実験的に測定検証した。この測定により,反射鏡であるヘリオスタットの追尾不良や二次反射鏡の一部の不具合が見つかり,修理および再調整が必要であることが分かった。
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