研究課題
LINE(別名non-LTR型レトロトランスポゾン】はほとんどの真核細胞に存在し、最も活動的な転移因子にも関わらず、その特有な転移過程の多くは解明されていない。LINEのmRNAは転写・翻訳されると、コードしたORF1、ORF2タンパク質と(RNOリボ核タンパク質(RNP)複合体を形成し、核内の標的サイトへ移行し、標的DNA上で逆転写されるが、本研究ではLINE・RNPの(1)形成過程(2)核内移行(3)標的DNAとの相互作用に関わるLINE内部の機能的な構造を解明することを目的とした。(1)18SrDNAの特定部位に転移するR1クレード因子R7(Anopheles由来)の転移活性をsf9細胞において解析した。その結果、「逆転写が正確に起こるには、mRNA末端にあるpolyAの長さがある程度長いこと」と、「転移サイトに正確に挿入されるには、標的とする部位の15塩基のTSD(Target site duplication)が正確であること」が明らかになった。他のR1クレード因子の28SrDNA特異的R1にはpolyAが存在しないことから、同じクレードの因子でも転移機構を多様化させている可能性が示された。(2)さらにR7とR1のRNPの細胞内での動態を調べたところ、いずれにおいてもORF1pは主に細胞質に存在するのに対し、ORF2pは一部のシグナルが核内にドット状に局在していた。両者を共発現させるといずれの因子においても核の辺縁部に共局在のシグナルが観察された。さらにORF2pのシグナルは核小体マーカーのFibrilarinと共局在することが示された。これらの結果はrDNAに特異的に転移する因子(R因子)では細胞内での移行過程が共通しており、標的であるrDNAが存在する核小体に一旦アクセスし、そこでそれぞれの因子の標的部位を認識、切断、転移を起こす可能性が示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 遺伝システム革新学分野http://www.idensystem.k.u-tokyo.ac.jp/index.htm
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