研究課題/領域番号 |
24370002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大矢 禎一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20183767)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオイメージング / 出芽酵母 / システムズバイオロジー / オーミクス / オルガネラ / 画像解析 |
研究概要 |
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の細胞外郭(細胞壁や細胞膜)、核DNA領域、アクチン、液胞、ミトコンドリア、微小管、微小管集合中心、セプチンリング、シスゴルジ、トランスゴルジ、オイル顆粒などからデジタル画像の抽出を行い、細胞構造体の定量解析を行える共通システムを構築した。 (1)オルガネラ形状のカテゴリー 膜で囲まれたオルガネラは、必ず細胞内である領域を占めるが、光学顕微鏡の解像度が0.2μmであることから、画像中では酵母の小さな顆粒やオルガネラはほぼ点として認識される。細胞骨格の場合には管ではなくて線として認識される。したがって、酵母の細胞内部のオルガネラの形状を「領域」、「点」、「線」のいずれかであると捉えることができた。 (2)カテゴリーごとの画像抽出 実際にオルガネラ画像を抽出する際には、画像抽出に使われるマセマティカル・モルフォロジーの一般的な手法全てが適応可能だった。画像中の細胞領域は、大津法などの二値化、セグメンテーションに必要な画像抽出法を使って行なった。その後芽の付け根部分を特定して、母細胞と娘細胞の部分に分割した。 (3)液胞の酸性化 液胞の酸性化は液胞加水分解酵素の活性の維持等に重要であり、液胞膜に存在しているプロトン輸送性ATP加水分解酵素(V-ATPase)が中心的な役割を果たしている。本研究では、V-ATPaseの活性を特異的に阻害するコンカナマイシンA (conCA)を用いて、酸性コンパートメントの酸性化を抑えた時に液胞タンパク質がどのように局在変化するのかを定量的に解析した。Huhら(2003)が作成したGFPコレクションを用い、液胞もしくは液胞膜に局在している73個のタンパク質について、conCA処理による局在変化をCalMorphを用いて定量的に解析したところ、19個のタンパク質で局在変化が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度当初から予定していたオルガネラ形状のカテゴリー分けとカテゴリーごとの画像抽出に加えて、液胞に局在するタンパク質が酸性化を抑制したときにどのように局在変化するかを追跡し、論文にまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究によって超多次元の拡張パラメータを新たに作製し、4,000以上の遺伝子産物の局在位置・形態情報を取得できるようになったため、今後は高速化した表現型定量計測システムを導入してハイスループットな解析システムを構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ハイスループットな画像取得システムを活用する場合にどの程度のSNが見込まれるか、温度感受性変異株の解析を行った時にどの程度信頼性があるかどうかなどの検討を行い、システムのフィージビリティスタディを行なう。
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