研究課題/領域番号 |
24370015
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
布浦 拓郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 主任研究員 (60359164)
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研究分担者 |
高木 善弘 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (10399561)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 海溝 / 超深海 / 硝化 / 微生物生態 / 環境ゲノム / 堆積物 / 小笠原海溝 / 日本海溝 |
研究概要 |
研究代表者らがこれまで行ったマリアナ海溝を対象とした研究により、海溝内には、海溝の上に拡がる深海水塊とは異なる独自の生態系、即ち'海溝生命圏'が存在する可能性が示されている。本研究は、これまで博物学的探査に留まり、地球化学等と連携した現代的な微生物生態研究が展開されてこなかった超深海'海溝環境'に存在する独自の生態系を支える仕組みを明らかにすることを目的とする。 平成24年度においては、平成23年度に日本海溝及び小笠原海溝より採取した水塊試料及び堆積物試料について解析を進めると共に、12月に小笠原海溝、日本海溝、相模トラフの会合点周辺を対象とした調査航海(KR12-19航海)を行った。 日本海溝における研究では、海溝を横断する形で合計5地点にて海洋表層から海底近傍まで垂直方向に採取した水塊試料を用い、微生物定量、群集構造解析を行って、海洋表層の一次生産が高い海域においても海溝内に独自の生態系が存在しうることを示した。また、小笠原海溝及びその近傍の深海平原から採取した堆積物試料について微生物群集構造及び間隙水の化学組成を比較検討し、海溝という構造が堆積物中の生態系にも影響を及ぼしていることを明らかにした。この他、小笠原海溝より採取した海洋表層から海溝底までの水塊試料について、海外の研究協力者の協力を得て1細胞ゲノムライブラリーの構築を行い、その群集組成から、小笠原海溝においても海溝内水塊には独自の生態系が構築されていることを確認した。 KR12-19航海では、3海溝の会合点周辺の水塊、堆積物中の微生物生態、化学環境を解析し、海溝内の潮流を介した物質・微生物の移動を検証することを目指した。しかし、悪い海況の為、日本海溝南端部における採水採泥を行うに留まった。この航海で採取した試料の解析は平成25年度以降に展開する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の調査航海は予定通りに行うことが出来なかったが、平成23年度以前に採取した試料を用いた研究は、大きな問題もなく順調に進展している。また、得られた結果も、仮説を概ね支持するものであり、大きな研究方針の変更を行う必要も生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に日本海溝より採取した試料の解析を進めると共に、平成24年度に成功した小笠原海溝水塊試料からの構築に成功した1細胞ゲノムライブラリーを用いた環境ゲノム解析を積極的に進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
他の研究費から、物品費当に充当可能な予算を確保出来たため、平成24年度秋より雇用した、本計画の遂行に専従する技術スタッフの賃金に充当される。
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