研究課題
R-SNAREであるVAMP727のlongin domainに存在する挿入配列が局在に与える影響についてさらに詳細に調べるため,挿入配列の有無でVAMP727との結合が変化する分子の探索を,共免疫沈降と質量分析解析により行った.その結果,複数の候補分子を単離することに成功した.植物特異的RAB5であるARA6について,シロイヌナズナとゼニゴケにおける解析を並行して進めた.シロイヌナズナにおいては,エフェクターであるPUF2の機能解析を一層進めるとともに,他のエフェクター候補についても,細胞内局在や他のRABとの相互作用の確認など,基礎的な解析を進めた.ゼニゴケについては,シロイヌナズナから得られた知見を敷衍し,エフェクター候補分子の機能解析を進めた.その結果,エフェクター候補であるMpPUF2はエンドソーム間の繋留において,MpPUF3は葉緑体の構造と機能の維持に関わっていることを示唆する結果を得た.RAB5とRAB7の関係においても,新たな知見が得られた.RAB7の活性化因子(SAND-CCZ1複合体)の機能解析を行い,この複合体が活性型RAB5に結合することを示すとともに,確かにRAB7の活性化能を持つことを生化学的に示した.さらに,RAB5とRAB7に関連する様々な変異体を用いた解析から,植物においては,動物や酵母とは異なる複数の輸送経路でこれらのRAB GTPaseが機能しており,それぞれの輸送経路が異なるタンパク質の輸送を担っていることを明らかにした.
1: 当初の計画以上に進展している
申請時には計画していなかったRAB7を含めた輸送系にまで研究を展開することが出来たことにより,植物における膜交通の多様化と進化を明らかにする上で重要な知見を得ることに成功した.
これまでの研究をさらに発展させ,VAMP72が植物の進化の過程でいかに多様化してきたのかを解明する.さらに,ARA6を含むRAB5とRAB7によって制御される植物のエンドサイトーシス経路,及び液胞輸送経路の全貌を明らかにするべく研究を推進する.
多数の抗体を作製する予定であったが,抗原タンパク質の精製がなかなかうまくいかず,条件検討に手間取った.現在良好な発現条件が見つかりつつある.前年度からの課題である抗体作成にかなりの額を使用する.質量分析等の委託解析を,次年度においてもまとまった回数行う予定である.さらに,消耗品費の購入や,成果報告のための国内外の旅費に使用する予定である.
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