研究課題
基盤研究(B)
clv2エンハンサー突然変異体の単離・解析について、我々は、これまでに、シロイヌナズナを用いて、42のclv2エンハンサー突然変異体を単離してきた。本年度、これら全ての候補突然変異体のゲノムシーケンスを解読した。その結果、46の候補のうち、14突然変異体において、三量体G-proteinタンパク質のβサブユニット,agb1の遺伝子内に変異を検出した。また、γサブユニットの二重突然変異体,agg1 agg2もclv2の表現型を助長する事を示した。一方、agb1, agg1 agg2だけでなく、αサブユニットの突然変異体gpa1も、CLEペプチド耐性を示した。さらに、生化学的実験により、AGB1がCLV2と相互作用することを明らかにした。これらのことから、Gタンパク質がCLV2を介してCLVシグナルを伝達していることを示唆した。42のclv2エンハンサー突然変異体のうち、3つの候補について、LRR-RLKをコードするBAM1遺伝子内に変異が生じていることを明らかにした。bam1は単独の突然変異体でもペプチド耐性を示したが、bam2, bam3突然変異体は、野生型同様ペプチド感受性であった。clv2 bam1は、強いペプチド耐性を示すが、rpk2 bam1二重突然変異体も同様に強いペプチド耐性を示した。これらのことから、BAM1は、根端分裂組織において、CLV2やRPK2と独立の経路によりCLEシグナル伝達系の受容体として機能することが示唆された。地上部で機能すると考えられているCLV1は、根端分裂組織では機能していないと考えられているので、CLV1に最も高い相同性を示すBAM1が、根端部において、CLV1の代わりにCLEペプチド受容体として機能し、根端分裂組織の活性制御を担っていると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
今年度は、エンハンサー突然変異体の単離が進み、多くの原因遺伝子の単離に成功した。また、BAM1の遺伝学的解析も進み、RPK2とBAM1が共に機能することも示唆した。
今年度に引き続き、突然変異体の原因遺伝子の単離を進める。また、遺伝学的解析に加え、細胞生物学的解析も行う事で、多面的なデータを得、総合的に分裂組織の活性制御に関わる分子機構の解析を推進する。
多数のclv2 enhancer突然変異体を得ており、それらの原因遺伝子を同定すると同時に、その機能解析を、分子遺伝学的解析、生化学的解析によりすすめる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 備考 (1件)
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http://www.sci.kumamoto-u.ac.jp/~sawa/