研究実績の概要 |
(1)帯化病原菌Rhodococcus fasciansのMT1, MT2により作り出される新奇のサイトカイニン様化合物(メチルサイトカイニン)の植物体内での安定性の検討:メチルサイトカイニン(1MeiP, 2MeiP)と通常のサイトカイニンの宿主植物体内での安定性の違いを明らかにするために、1MeiP, 2MeiPを用いたトレーサー実験を行ったところ、通常型のiPに比べ、メチル化されたものは生体内でより安定であることが示された。また、サイトカイニン分解酵素に対する反応性は著しく低いことも明らかとなった。よってメチル基の付加により、より長期にわたりサイトカイニン作用を発揮すると考えられた。 (2)R. fascians感染植物体内におけるメチルサイトカイニンと通常のサイトカイニンの内生量の定量解析:R. fasciansをタバコに感染させ、経時的にサイトカイニン量を定量したところ、leafy gall形成に先立って、1MeiP, 2MeiPの蓄積量が増加することを明らかにした。特に感染後3日後でピークに達していた。1MeiPに比べ2MeiPが数倍高く蓄積していたことから、主要な合成産物は2MeiPであると考えられた。 (3)FAS遺伝子群(FAS1, FAS2, FAS3, FAS4, FAS5, FAS6)の機能同定解析:残りの機能未同定遺伝子であるFAS1, FAS2, FAS3, FAS5についても、引き続き組換え酵素タンパク質を用いて、新奇サイトカイニン様化合物の同定を試みた。様々なFAS遺伝子の組合せで発現させた大腸菌培養上清を高分解能質量分析器を用いて差分解析などを行ったが、新たな反応産物を見いだすにはいたらなかった。
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