研究課題/領域番号 |
24370029
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
研究代表者 |
井口 泰泉 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90128588)
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研究分担者 |
宮川 信一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教 (30404354)
荻野 由紀子 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教 (00404343)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境応答 / ワニ / ミジンコ |
研究概要 |
性決定や生殖戦略の多様性は、多様な種の確立に至る生物進化の分子基盤となっている。動物の性決定・分化については、多くの場合染色体の構成で決まるが(遺伝型性決定)、光や温度、個体密度など、周囲の環境によって性が決まる動物がいる(環境依存型性決定)。本研究は、アメリカワニとオオミジンコの環境依存型性決定機構をモデルとして、環境シグナルの受容機構と、そのような外部環境シグナルとホルモンを含む生体内環境調節因子との間の遺伝子・シグナルネットワークを明らかにすることを目的としている。 我々は、アメリカワニから既に複数種のTRP遺伝子の全長をクローニングしており、そのうちの一つは、100%雄が誘導される温度に近い温度域で活性化されることを見出している。さらにそのTRP特異的なアゴニスト、アンタゴニストを卵に添加し、孵化直前まで育てたワニから性腺を摘出し遺伝子発現解析を行った結果、女性ホルモン合成酵素やSox9, Amhなど卵巣あるいは精巣形成に重要な遺伝子の発現変化が認められた。 オオミジンコは雄決定のトリガーとなる環境要因を検討した。その結果、ある単一パロメーターで高効率で雄を産生する条件を決定することができ、さらに雄になる条件、雌になる条件で飼育したミジンコの遺伝子発現解析をRNA-seq解析及び、メタボローム解析を行い、いくつかの(性決定に関与しうる)候補を見出した。現在得られた候補遺伝子や代謝物(タンパク)について、性比に与える影響についての機能解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ワニの雌雄性決定に関与する温度域で活性化されるTRPチャネルの同定、その機能解析、遺伝子発現解析まで行っている。ミジンコでは雌雄を産み出す環境パロメーター条件決定し、遺伝子発現解析、メタボローム解析もラン自体は終了し、既に解析に入っていることから、概ね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
ワニ、ミジンコとともに、雌雄形成に関わる網羅的な遺伝子解析について、引き続きRNA-seq/メタボローム解析を行い、標的遺伝子などについて機能解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度はRNA-seq.解析(ドライ)に多くの研究を費やしたために、ウェットの実験の占める割合が相対的に減ってしまっている。次年度からはRNA-seq.解析に基づく機能解析に進むために、多くの試薬類などの研究経費がかかると予想される。 上記のように、RNA-seq.解析に基づく機能解析に進むために、多くの試薬類などの研究経費を見積もっている。さらに遺伝子操作なども複数人で集中的に行うため、マイクロインジェクション装置の購入を検討している。
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