研究課題
性決定や生殖戦略の多様性は、多様な種の確立に至る生物進化の分子基盤となっている。動物の性決定・分化については、多くの場合染色体の構成で決まるが(遺伝型性決定)、光や温度、個体密度など、周囲の環境によって性が決まる動物がいる(環境依存型性決定)。本研究は、アメリカワニとオオミジンコの環境依存型性決定機構をモデルとして、環境シグナルの受容機構と、そのような外部環境シグナルとホルモンを含む生体内環境調節因子との間の遺伝子・シグナルネットワークを明らかにすることを目的としている。アメリカワニから既に複数種のTRP遺伝子の全長をクローニングしており、そのうちの一つは、100%雄が誘導される温度に近い温度域で活性化されることを見出した。さらにそのTRP特異的なアゴニスト、アンタゴニストを卵に添加し、孵化直前まで育てたワニから性腺を摘出し遺伝子発現解析を行った結果、Sox9、Amhなど精巣形成に重要な遺伝子の発現変化が認められた。このことは、環境依存型性決定機構において、環境シグナルを内在的なシグナルに変換するための温度センサーに関する初めて報告となる。オオミジンコは雄決定のトリガーとなる環境要因を検討した。その結果、光周期によって、高効率で雄を産生する条件を決定するラインを確立することができた。さらに雄になる条件、雌になる条件で飼育したミジンコの遺伝子発現解析をRNA-seq解析及び、メタボローム解析を行い、いくつかの(性決定に関与しうる)候補を見出した。得られた候補遺伝子や代謝物(タンパク)について、性比に与える影響についての機能解析を行うことにより、環境依存型性決定の一連の分子カスケードが明らかにできると思われる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Endocrinology
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