昆虫は光周期や温度情報から季節を知り、生存に適した季節に成長や生殖を行い、不適切な季節には休眠に入り過酷な環境をやり過ごす。本研究は、ハエの休眠 調節に関わる脳ニューロンとそこに発現する分子を特定することを目的とする。本年度、以下の結果を得た。 1 ルリキンバエの脳の凍結切片を用いてin situ hybridizationを行い、まず、多くの昆虫の脳内に高発現することが知られているオクトパミン合成酵素のチラミンbヒドロキシラーゼと、ドーパミン合成酵素であるドーパデカルボキシラーゼの発現細胞を染色することができた。この方法を用いて、定量的PCRにより短日条件3日目で発現が上昇することが確認された遺伝子の染色を行ったが、現在のところまだ染色像は得られていない。 2 CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集法の技術確立のため、引き続きルリキンバエの卵へRNA mixtureの注入を行った。しかし、孵化率は3%と低く、また、本年度、多くの卵を一度に得ることが困難となった。そのため、ノハラカオジロショウジョウバエに切り替え、採卵方法及びCRISPR/Cas9システムによるノックアウト法を検討した。
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