研究課題
(1)100遺伝子座の配列決定用の追加材料として,インドネシア・マレーシアにおいて採集を行い,43種69サンプルをアルコール・冷凍保存した.(2)ショウジョウバエ(Drosophila)亜属のimmigrans-tripunctata系統群に属す種のうちで,特にオオショウジョウバエ種群のD. immigrans,D. albomicans,D. annulipes,D. quadrilineata,およびそれらに関連するD. funeburis,D. maculinotata,Scaptomyza gruminumの7種について,Roche 454 GS Jrシーケンサーを用い,種ごとに10~20万リードのcDNA配列を決定した.これらのデータをショウジョウバエ12ゲノムデータと合わせて系統解析を行ったところ,オオショウジョウバエ種群の多系統性が強く示唆された.(3)14種のシマショウジョウバエ(Sophophora)亜属の種について20遺伝子のPCR・配列決定を行い、ゲノム情報が明らかになっている18種のデータを合わせて分子系統解析をしている.(4)形態的にショウジョウバエ亜属との類縁が示唆されているものの,詳細な系統的位置がこれまで明らかにされていない,Hirtodrosphila属,Mycodrosophila属,Paramycodrosophila属,Zygothrica属,およびCollessia属を主な解析対象とし,合計5属26種について,28S,COI,およびCOII遺伝子の塩基配列を新たに決定した.(5)将来,DNA配列情報を使うことができない種を系統解析に含める際に,非常に有効と考えられる形態形質を使った「接木」解析(分子系統樹を鋳型として,形態形質に基づいて細部の枝の位置を決める)を,Siphlodora亜属の系統解析に適用し,充分に信頼性の高い結果を得た.
3: やや遅れている
(1)次世代シーケンサを用いる配列解析には,高度な実験技術とコンピュータを用いたデータ解析技術が必要なため,それらの修練のために思ったより時間がかかっている.(2)新規プライマーの開発に,当初の予想よりも時間を要しているため.
(1)26年度からIllumina MiSeqシーケンサーを用い,cDNAの解析の大きな効率アップを図る.そして,当初計画した50種を目標にcDNAの配列決定を行う.(2)上記のcDNA配列解読が進むことにより,100遺伝子の配列決定に有効なPCRプライマーの設計も容易になると考えられる.それにより,初年度に選定した約100種の候補種の100遺伝子座配列を決定することをめざす.(3)上記のデータに,公開されている12種のゲノム配列データを付け加えて,ショウジョウバエ科の骨格系統樹を求める.さらに,当初計画に従って,GenBankなどに登録されている数遺伝子座の配列データも組み込んだ網羅的巨大系統樹解析を行い,本研究の目的を達成する.
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