本研究では,氷期-間氷期サイクルが日本列島周辺の海産魚,および通し回遊魚の分布パターン形成に与えた影響を明らかにすることを目的として研究を進めた.海産魚では,北太平洋に広く分布する寒海系魚類に海域間で遺伝的・形態的差異が認められるケースが多くみられたほか,暖海系魚類では,間氷期に対馬海峡によって個体群が分化した後,氷期の海退で二次的接触や交雑が生じたと考えられるパターンが複数の種で確認された.氷期-間氷期サイクルが淡水魚に与える影響については多くの研究例があったが,本研究の結果,海産魚や通し回遊魚でもその影響が大きいことが明らかとなった.
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