研究課題
基盤研究(B)
卑細胞シャジクモ藻類ヒメミカヅキモには、生殖隔離した系統、自殖する系統があり、生殖様式の進化、種分化の実体を捉える上で、非常に適した研究材料である。これまで有性生殖期に関連した多くの遺伝子群がクローニングされているが、これらを統御する接合型特異的なゲノム領域、性決定遺伝子の実体は不明であった。我々は、次世代シーケンサー(IlluminaHiSeq2000)を用いて、+型、=型両性のゲノム解析を進めており、今年度はさらに180bpのpaired-end libraryの配列決定などを進め、allpaths-1gを用いたアセンブルを、様々な条件のもとで行った。1kb以上のcontigに注目したところ、現時点で+型のN50は、contig長で5.5kb,scaffolds長で70kb,total contig長で198Mb、total scaffold長で246Mbとなり、一型のN50は、contig長で6.3kb,scaffolds長で57kb,total contig長で211Mb、total scaffold長で248Mbとなった。両ゲノムを比較した結果、多くは塩基レベルでの差が見られなかったが、いくつかの遺伝子については、顕著に多型が検出された。また、+型細胞および一型細胞のBACライブラリーが作製され、最終的に平均84-107kb以上のインサートを含む、15 x coverage相当の複数のグリセロールストックが得られた。また生活環の各ステージからRNAを調製し、transcriptome解析を進めた。
3: やや遅れている
概要ゲノム解析は予定通り進んでいる。transcriptomeについては、サンプル調製がやや遅れたため、顔在までに解析結果を得ていない。しかしながら、今年度前半には、結果を得られる予定であるため、大きな遅滞てはない。
PacBIORSによるゲノム解析を加える。すべてのゲノム情報をアセンブルした結果を比較し、接合型特異的なcontigを検索する。またtranscriptome解析結果をもとに、それぞれの接合型特異的に発現する遺伝子を検出する。100%片方の接合型細胞のみで発現している遺伝子群について、子孫の分離集団において、接合型と連鎖しているかどうかをPCR解析によって確認する。性染色体候補領域について、対応するBACクローンをPCRベースでスクリーニングする。
今年度は、ゲノム解析にPacBIORSによる解析を加える予定であり、その配列決定費用に充当する予定である。定量PCRによる解析、BACクローンのスクリーニングなどに使用する遺伝子工学的試薬の購入を予定している。
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