研究課題/領域番号 |
24370040
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, グループ長 (50280524)
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研究分担者 |
上野 修 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70414886)
今市 涼子 日本女子大学, 理学部, 教授 (60112752)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 共生 / 菌類 / 植物 / 進化 / 光合成 / 菌根 |
研究概要 |
本研究は菌従属栄養種とそれにもっとも近縁な独立栄養種のペアを複数用いて,各系統の菌従属栄養性進化に随伴する形質を詳細に解析し,植物の菌従属栄養性進化のパタンとプロセスを明らかにすることを目的とする。 本年度は,ひとつの属内に独立栄養種と菌従属栄養種を含むラン科サカネラン属(Neottia)に着目した。サカネラン属植物11種(独立栄養種:5種、菌従属栄養種6種)160個体の菌根菌について,rDNAのITS領域およびLSUの分子系統解析を行った。その結果,菌従属栄養種のすべてのサンプルは担子菌門のロウタケ目(Sebacinales) group Aの菌種と,独立栄養種はSebacinales group B の菌種と主に菌根共生することが分かった。また種ごとに菌根菌への特異性に差があり,菌従属栄養種のタンザワサカネランのようにSebacinales以外のイボタケ科やベニタケ科などが検出される種も存在した。さらにツツジ科植物と菌根共生するSebacinales group Bの種が独立栄養種のミヤマフタバランやコフタバランより検出され,ラン科とツツジ科植物が菌根菌を共有する可能性が示唆された。Sebacinalesはgroup AとBの2分岐群からなり,前者は樹木の外生菌根を形成するのに対し,後者は腐生菌などの非外生菌根性の種から構成されることが知られている。別途構築したサカネラン属の分子系統樹を参照体系として菌根菌相のシフトを検証したところ,サカネラン属の独立栄養から菌従属栄養への進化に伴い,腐生菌から外生菌根菌に菌根菌がシフトした可能性が高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプル収集、データの解析ともに予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
24年度に多くのサンプルを収集することができたので、今年度は実験とデータ処理により集約する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験が順調に進み、人件費、消耗品費が当初予定したほどかからなかったため。 当初予定したよりも実験の規模を拡大し、人件費と旅費に重点配分する。
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