研究課題/領域番号 |
24370043
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村上 緑 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20324387)
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研究分担者 |
神山 勉 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30170210)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | X線結晶構造解析 / 情報伝達 |
研究概要 |
非脊椎動物型ロドプシンの代表例としてイカロドプシンを対象に結晶構造解析を進め、これまでに4状態(暗順応状態、バソ中間体、ルミ中間体、イソロドプシン)の構造を求め、光吸収によりイカロドプシンに惹起される構造変化がウシロドプシンとは大きく異なることを見出した。本研究ではこれまでの研究をさらに発展させ視覚系の情報伝達分子まで対象を広げ、光信号変換から情報伝達まで非脊椎動物型視覚系シグナリング分子の作動機構の解明を目指している。 本年度は様々な反応状態での結晶化実験を行った。その結果、1)暗順応状態の結晶を昇温し状態遷移させたオプシンの結晶、2)オプシン結晶を全トランスレチナールを含んだ母液に浸潤させた赤榿色結晶、3)全長ロドプシン結晶、を得た。4)また、暗順応結晶を100Kで青色光を照射し、暗条件下で240Kまで昇温するとルミ中間体からLM中間体への遷移が起こることを見いだした。2)について酸性、アルカリ性溶液にそれぞれ浸潤させた場合結晶の色が赤から黄色と大きく変色することを見いだした。これはメタ状態がpHに依存したアシッドメタ中間体とアルカリメタ中間体の平衡状態にあることを示しており、現在、それぞれの結晶について反応状態の占有率を求め捕捉条件の最適化を行っている。3)については放射光施設Spring-8にてX線回折実験を実施した結果、最高で7Aの分解能の回折データを得た。現在、回折分解能を上げるために結晶化条件の最適化を行っている。4)の結晶については高分解能構造決定を目指して解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
結晶を保管している冷温室の温度制御装置が故障したことにより室温が上昇し、結晶が変性したため。
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今後の研究の推進方策 |
結晶化を精力的に行い、測定試料となる結晶の数の確保につとめている。同時に、情報伝達分子を大量精製しロドプシンとの共結晶化を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
サンプル調整および結晶化実験に用いる試薬類の購入、およびSPring-8実験への旅費等に使用する。
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