これまでに暗順応状態のイカロドプシンの結晶に対し光反応を惹起させ低温下で反応中間体を捕捉し、バソ中間体、イソロドプシン、ルミ中間体の構造を求めた。昨年度までに本研究課題において LM 中間体の構造解析を行い現在論文投稿準備中である。 さらなる後期中間体の構造を求めるに当たり、暗順応状態の結晶に 4℃で光照射すると光活性型へと変換されたが結晶性が著しく劣化し回折データの取得は困難であった。本研究課題では新たに結晶化条件を検討し、今年度までにいくつかの新奇結晶を得ることができた。 イカ網膜から微絨毛膜を純度よく単離し、暗順応状態のロドプシンを含む微絨毛膜標品に対し4℃で青色光を照射し、 pH 依存的な光産物の平衡状態を形成させた。この膜標品を界面活性剤オクチルグルコシドを用いて可溶化し広い pH 範囲で結晶化を試みたところ、赤橙色の六方晶の結晶が得られた。結晶が生成された pH は溶液系では酸性型の形成率が100%であるので、この結晶はアシッドメタ状態の結晶であると考えられる。回折実験を行い 3A を超える回折斑点が確認され現在解析中である。
|