研究課題
赤痢菌は粘膜上皮細胞を介して感染・定着し炎症性下痢を引き起こす病原体である。赤痢菌の感染はエフェクターと呼ばれる病原因子が宿主細胞に分泌されることで成立する。赤痢菌ではこれまでに48種類のエフェクターが報告されており、それらは免疫系や細胞接着に関連する宿主内タンパク質を標的として働いている。エフェクタータンパク質OspIはUbc13を脱アミド化することでTRAF6により制御される防御機構を阻害することを、これまでの研究より明らかにしてきた。しかし、これまでに解析を行った野生型OspIの結晶構造は不活性型構造であったことから、触媒活性機構の理解を目指し、活性部位のSer変異体(OspI C62S)のX線結晶構造解析を行い、2.2Åで立体構造を決定した。それによりOspIはシステインプロテアーゼと同様の触媒構造をとることを示した。また、Ubc13の脱アミド化によりTRAF6の活性化はどのように阻害されているかを理解するため、脱アミド化状態のUbc13のX線結晶構造解析を行い、2.65Å分解能で立体構造を決定した。IpaHファミリーは赤痢菌に10種類存在するユビキチンリガーゼ活性を有するエフェクターである。IpaHファミリーの一つIpaH9.8は宿主細胞の炎症性サイトカイン遺伝子の発現に必要な転写因子NF-κBの活性化に関わるNEMO(NF-kappa-B essential modulator)をユビキチン化修飾し、分解へと導く。IpaH9.8による基質認識機構の理解を目指し、IpaH9.8の基質認識ドメインの結晶化を行い、2.0Å分解能の回折データを収集した。また、全長のIpaH1880の結晶化を行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cells
巻: 3 ページ: 848-864
doi: 10.3390/cells3030848.