研究実績の概要 |
修飾ネットワーク構造を介したヌクレオソーム構造変換機構については、ヒストン (H3-H4)2四量体からH3-H4二量体への変換(Nature, 2007)及びヒストン修飾からヌクレオソーム構造変換(PNAS, 2010)の知見を得、その成果を踏まえて個々の素反応での特異性がどのように生まれるのかを解析し、多様な外部情報の縮小化の仕組みを解明することに努めた。一方で、ヌクレオソーム表面の機能ドメインの解析を更に進めた(Genes Cells, 2012)上に、新しい方法を導入し、H2A型及びHtz1型ヌクレオソームの機能性の差異を検出するために両複合体共通サブユニットの機能解析を進め、明らかにした(PNAS, 2014)。この解析は、複数の複合体中の共通サブユニットの機能を明らかにしたもので、数十年来の難題だったが、今回初めて知見が得られた。更に、ヒストンModification web theory (Genes Cells, 2009)を提出したものの、4種類のヒストンテイル領域が生存に必須でないといった知見が研究の進展を阻んでいたが、1種類のテイル領域が生存に必須であること、生存を脅かさない欠損株では、H3の修飾が変わらない知見を得、多重点変異テイル領域を用いた新しい研究展開を示すことになり、web内で起こる仕組みをようやく明らかにすることができた(論文作成中)。以上の知見は非常に新しい研究展開を含んでおり、現在、i) 多様化を極めた多細胞生物ヌクレオソーム内の共通サブユニットの機能解析、ii) テイル領域内の修飾ネットワーク構造が示す頑強性の仕組みの更なる解析を進めている(論文準備中)。また、30年来の報告者の課題であった転写開始システムの起源に関する解析に大きな進展が見られ、約30億年前のシステムを明らかにすることになった(論文投稿中)。
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