研究課題/領域番号 |
24370054
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋山 芳展 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10192460)
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研究分担者 |
森 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 准教授 (10243271)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大腸菌 / 膜内タンパク質切断 / 表層ストレス応答 / S2Pプロテアーゼ / PDZドメイン |
研究概要 |
大腸菌σE経路表層ストレス応答では、異常外膜タンパク質の蓄積を感知し、2つの膜プロテアーゼDegSとRsePが膜貫通型anti-σEタンパク質RseAを連続的に切断することでストレス応答転写因子σEを活性化させる。2段階目の切断を担うRsePは、S2Pファミリーに属する膜内切断プロテアーゼ(1-CLiP)である。通常RsePは、DegSによって切断された「RseA分解中間体」のみを切断する。この制御にはRsePのペリプラズム領域上に存在する2つのPDZドメイン(PDZ_N,PDZ-C)が関わる。 最近Liら(Li et al., 2009)は結晶構造解析とin vitro実験から、DegSによる切断で生じたRseAの新生C末端残基Val148を、RseP PDZ-Cがリガンドとして認識・結合することが、RsePによるRseA分解中間体の切断に必要であると提唱した。そこで我々は、Liらのモデルがin vivoでも適用できるかを検討した。in vivoでは、RseP PDZの推定リガンド結合部位の変異、あるいはPDZ-NCドメインの全欠失ですらRseAモデル基質の切断能に有意な変化は及ぼさなかった。またDegS切断後のRseA分解中間体を模したモデル基質のC末端残基Val148を、他の19種のアミノ酸に置換しても、切断への影響はほとんど見られなかった。これらの結果は、in vivoではPDZドメインによるRseA分解中間体C末端残基の認識は、RsePによる切断に主要な役割を果たしていないことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RsePによる基質認識機構について、提唱されていたモデルがin vivoでは適用できないことを明確に示し、RsePの作用機能について、重要な知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、基質認識・切断におけるPDZドメインの役割について構造生物学的アプローチも併せて解析し、その調節機構の解明に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
予想外に消耗品等の経費が掛からなかったために、一部研究費を次年度に繰り越した。翌年度研究が順調に進めば、生化学解析・変異解析等にかなりの費用が必要となることが予想されるので、翌年度経費と併せて使用する。
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