本研究の目的は、細胞膜上の「脂質ラフト」でのシグナル伝達とその制御機構を解明することである。そのため、代表的ラフトマーカーであるGPIアンカー型タンパク質や糖脂質(ガングリオシド)の1分子ずつの挙動を細胞膜上で追跡した。驚くべきことに、これらの分子はいずれもコレステロールにより安定化される短寿命のホモダイマーを形成していた。また、一般にヘテロダイマーは形成しにくく、タンパク質相互作用や糖鎖相互作用がホモダイマー形成を誘起することが示唆された。また、このホモダイマーは、さらに大きな会合体を形成するための基本ユニットであるという仮説を提案した。
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